第26回-精神専門76

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問題 76「平成24年障害者雇用状況の集計結果」(厚生労働省)に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。

1 民間企業において雇用されている障害者の数は, 2011年(平成23年)と比較してみると, 減少した。

2 民間企業において雇用されている障害者の数を2011年(平成23年)と比較してみると, 障害種別のうち, 精神障害者の増加率が最も大きかった。

3 特例子会社に雇用されている障害者の数をみると, 障害種別のうち, 精神障害者が最も多く占めていた。

4 雇用されている障害者の数を, 企業規模別に2011年(平成23年)と比較してみると, 300人未満の企業で減少した。

5 障害者を1人も雇用していない企業が, 法定雇用率の未達成企業に占める割合は, 10%程度となっていた。

うわー。また統計問題かあ。。これもよく出題されるので, チェックが必要です。問題は平成24年度版ですが, 平成25年度版で解説します。原文はこちら

選択肢1 誤り。平成25年度版では, 雇用障害者数, 実雇用率, 伸び幅も過去最高となっています。そういう意味では, 障害者雇用施策は着実に進捗していると言えます。

選択肢2 正答。元々精神障害者は法定雇用率の算定対象になっていませんでしたが, H25年の改正で, 算定対象になったため雇用率は大きく増加しています(雇用義務の対象にはなっていないことに留意)。

選択肢3 誤り。これもニッチな問題だと思います。特例子会社で最も多く雇われているのは知的障害者で, 僅差で身体障害者, 精神障害者はその10分の1程度です。特定子会社とは, 事業主が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立し, 一定の要件を満たす場合には, 特例としてその子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなして, 実雇用率を算定できるという特例で認められた会社です。また, 特例子会社を持つ親会社については, 関係する子会社も含め, 企業グループによる実雇用率算定も可能ですね。

選択肢4 誤り。これは背景を知っていれば解けそうです。障害者雇用促進法の対象となる企業は56人以上ですが, 実際法定雇用率を満たさない場合に, 納付金を支払わなくてはならない企業は当初300人以上でした(56人〜300人は保留)。H20年改正以降, 中小企業における法定雇用率の増加を目指して, 対象事業主が段階的に拡大されています。このため, 300人以上の中小企業でも法定雇用率は少しずつですが増加していますね。

選択肢5 誤り。H25年の調査によると, 雇用率未達成企業のうち, 不足分が0.5人又は1人である企業 (一人不足企業)は, 62.1%で過半数を占めています。また, 未達成企業のうち, 障害者を一人も雇用していない企業は59.6%となっています。両者の統計はなんだか矛盾しているように思えますが, 中小企業で, 1人か2人しか雇用義務のない会社での障害者雇用がなかなか進んでいないと理解すればいいのではないでしょうか。

今日はここまでー。

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