第26回–共通科目83

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問題 83 事例を読んで, 通報を受けた関係諸機関の対応に関する次の記述のうち, 最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Hさん (50歳) は知的障害があり, 障害者グループホームを利用しながら, P就労継続支援A型事業所で週20時間就労している。Hさんの収入は障害基礎年金と就労所得である。障害基礎年金の振り込まれる通帳はHさんの兄Jさんが管理し, ホーム利用料はJさんが支払っている。また, 就労所得はHさんの日常生活費に充てるため, Hさん自身が通帳を保有し, グループホームの職員が金銭管理の支援をしている。3か月前からホーム利用料の滞納が発生しており, P事業所からの就労所得も一部しか支払われていないようである。

1 利用料滞納に関して, 地域包括支援センターはJさん宅に立入調査を行う。
2 利用料滞納に関して, 市町村はJさんに事実確認を行う。
3 利用料滞納に関して, 都道府県はJさん宅に訪問調査を行う。
4 就労所得に関して, 市町村はP事業所に賃金台帳の提出を命じる。
5 就労所得に関して, 各都道府県にある地方労働局はP事業所の指定を取り消す。

おおこういう問題は今まで見た事なかったなあ。ちょっと一つずつ確認が必要です。これはいつかまた出ると思います。ただ, この問題はあまり難しく考える必要はなさそうです。文の一番最後だけ読めばいいのでちょっと抜き出してみます。

選択肢1 立入調査を行う。

選択肢2 事実確認を行う。

選択肢3 訪問調査を行う。

選択肢4 賃金台帳の提出を命じる。

選択肢5 指定を取り消す。

この中で最もマイルドな表現の選択2が正答な感じですね。一応全部みてみましょう。

選択肢1 誤り。直感的には地域包括支援センターにそこまでの権限はなさそうですねー。そもそも高齢者分野の施設ではないですし。利用料の滞納については施設対象者がねばり強く交渉していくという位しか方法はなさそうです。

選択肢2 正答。これは全然知りませんでした。第9条抜粋です。

第九条 市町村等は, 自立支援給付に関して必要があると認めるときは, 障害者等, 障害児の保護者, 障害者等の配偶者若しくは障害者等の属する世帯の世帯主その他その世帯に属する者又はこれらの者であった者に対し, 報告若しくは文書その他の物件の提出若しくは提示を命じ, 又は当該職員に質問させることができる。
2 前項の規定による質問を行う場合においては, 当該職員は, その身分を示す証明書を携帯し, かつ, 関係人の請求があるときは, これを提示しなければならない。
3 第一項の規定による権限は, 犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

ただ, これを持って利用料滞納に市町村が介入できると言う解釈は結構乱暴な気もしますねえ。そ実際現場では行われているのでしょうか。そういう意味では「事実確認をする」という表現なので設問は正解だと思います。

あともしかすると, 兄が本人の障害年金を搾取している「経済的虐待」としてなんらかの介入が行われる可能性はあるかもしれません。その場合の担当は市町村の虐待防止センターですね。

選択肢3 誤り。選択肢2の9条に市町村の権限について記載してあります。このケースの場合は身近な市町村の役割です。もし経済的虐待が疑われたとしても, 養護者による虐待は市町村の管轄ですね。

選択肢4 誤り。事例中の“3か月前からホーム利用料の滞納が発生しており, P事業所からの就労所得も一部しか支払われていないようである”の意味がよく分からないのでどうにも判別不能ではあるのですが, “通報を受けた”とあるので, 通報者はP事業所の不当な搾取についても疑惑を持っている様子です。ただ, この段階でいきなり帳簿の提出を求めるということはないでしょう。

選択肢5 誤り。この段階でいきなり取り消しはあり得ませんね。もう一点違う部分としては, A型事業所の指定と取り消しは都道府県知事の権限です。

ちなみに, 地方労働局の主な業務として労働相談や労働法違反の摘発, 労災保険・雇用保険料の徴収, 職業紹介と失業の防止が挙げられます。A型の場合は雇用契約を結んでいるので, 地方労働局に相談することも可能ですが, 指定の取り消し権はありません。

よし, 終わったー。後は科目総評と全体総評の2つ!!今日中に終わらせちゃおう!!

カテゴリー: 第26回共通科目, 権利擁護と成年後見制度 パーマリンク