第28回-共通科目20

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問題20 社会的ジレンマに関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 企業などで生産された財やサービスが貨幣換算されないために, 国家のGDPに含まれないことを「外部不経済」という。
2 犯罪容疑者である共犯者が, 逮捕されていない主犯者の利益を考えて黙秘する結果, 自分が罪をかぶることを「囚人のジレンマ」という。
3 社会にとって有用な資源へのアクセスが特定の人に限られていることを「共有地の悲劇」という。
4 ある財やサービスの対価を払うことなく, 利益のみを享受する人のことを「フリーライダー」という。
5 協力的行動の妨害に与える報酬のことを「選択的誘因」という。

お社会的ジレンマかー。社会心理学者の端くれである僕は解けました。結構簡単な内容かなと思います。

選択肢1 誤り。外部不経済とは, マーシャルが提唱した概念で, 経済活動の費用や便益が取引当事者以外に及ぶことを指します。例えば, 「製品を安く売るために工場で大量生産する」ここまでは内部経済ですが, 工場で大量生産しばかりに公害が起きたりしますよね。ここでいう公害の被害者は「商品を売って買う」という直接の経済関係には関係ないので損をしてしまう。このように考えればわかりやすいのではないでしょうか。

選択肢2 誤り。囚人のジレンマについてはWebilio辞書の説明がわかりやすいのでコピペします。
「同一の事件で逮捕された2人の囚人が, 互いに意思疎通をできない牢獄にいるとする。そこで2人に対し, 個別に提案を出される。「自白するれば司法取引により釈放されるが, もう1人も自白した場合は2人に懲役3年が科せられる。1人が自白し, もう1人が黙秘した場合, 自白した者は釈放され, 黙秘した者は懲役5年が科せられる。また両方が黙秘した場合は, 懲役1年が科せられる。」
この前提に立つと, 2人の囚人の黙秘による懲役1年が最適な選択になりますが, この状況では相手が裏切って自白した場合には, 自分だけ損をする可能性が高い。だから結果として損をする可能性が高い, 両者とも「自白」という選択肢を取らざるをえないですね。

選択肢3 誤り。共有地の悲劇は, 別名コモンズの悲劇とも言います。これは社会的ジレンマの一つで, 誰でも自由に利用できる状態にある共有資源が, 管理がうまくいかないために, 過剰に摂取され資源の劣化が起ることを指します。例えば, 個人個人の漁師さんが自分のことばかり考えて魚を取りすぎた場合, 結果的に魚が減って漁業自体が成り立たなくなりますよね。これは資源だけに限りません。身近にある例で言うと, 個人個人が面倒くさがってゴミ捨て場を汚く使っていたら結果的に, 汚れて使いにくくなりますよね。

選択肢4 正答。小学校の頃, 掃除係なのに遊んでいる人もいましたよね。集団のサイズが大きいほどこのフリーライダーは生まれやすいと言われています。

選択肢5 誤り。個人が集合財の供給に貢献したか否かに従って個人に選択的に適用されるもの選択的誘因です。選択的誘因があればフリーライダーは相対的に存在しにくくなります。例えば掃除係でも, 掃除に貢献した人にご褒美(正の選択的誘因)や掃除をサボった人に罰(負の選択的誘因)があればそれぞれが集団のために活動しやすくなります。

さて今日もあと2問!

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