第28回-共通科目21

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問題21 社会問題の捉え方に関する次の記述のうち, 構築主義的なアプローチとして, 正しいものを1つ選びなさい。
1 社会がどうあるべきかについては, 多くの人々に共有されている規範が存在するので, これに反するものが社会問題と認識される。
2 社会は統一されたシステムを成しているので, その目標達成にとってマイナスに働く事象は, 社会問題と認識される。
3 社会問題とは, 客観的に実在し誰の日にも明らかな現実として存在するものである。

4 社会問題とは, 専門家でなければ可視化できないような, 現代社会におけるリスクのことである。
5 社会問題とは, 自明なものとして存在するのではなく, 人々が主張することを通して認識される問題である。

社会問題に関する出題ですね。難しい。こちらを参考にしました。中央法規の解説とは大きく異なりますので, 自己責任で参考にしてください!
社会構築主義的な考え方では, ある事物や現象というものを, その構成要素や必然性という確固としたものに帰属させるのではなく, 複数の中味や確率性という不確定で動態的なものに帰属させるという捉え方をします。非常にざっくりと言うと, 社会問題を例にとってみれば, 社会問題は誰かが「問題だ!」って言い出して, それが周知されるようになって初めて社会問題になるというような考え方です。例えば, 「格差」があるのが当たり前だって国民の皆が思っていれば格差がどれだけ広がっても格差は社会問題にはなりえません。

選択肢1 誤り。「社会がどうあるべきか」という規範が存在しても, 実際に逸脱した事象に対して, 組織的に活動するものがない限り社会問題とはなりえません。極端な例えで言えば「イケメンばかり持てるのは不公平だ!」ってのはもしかすると規範かもしれませんが, 「イケメンに税金をかける」みたいな勢力が現れない限りは社会問題としては成立していないと考えればいいのでは?

選択肢2 誤り。これはなんとなく違うようなとしかいいようがないのですが, 「社会が統一されたシステム」という部分そのものが構築主義的な考え方はことなってるように思います。

選択肢3 誤り。選択肢5と対になっている設問です。最初に説明したように「客観的に実在し誰の日にも明らかな現実」ではありません。

選択肢4 誤り。これも異なります。社会問題は, 専門家でなくても誰かが「これは社会問題だ!」と言い出して, 他者から一定の理解が得られれば社会問題として構築されます。

選択肢5 正答。社会問題は, 「なんらかの想定された状態について苦情を述べ, クレイムを申し立てる個人やグループ の活動」です。つまり, なんらかの形で既存の社会のあり方に対し, 異議を申し立てる組織がなければ社会問題は存在しえないという立場ですね。

うむー難しいなあー。

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