問題38 地域福祉活動における情報の取扱いに関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 社会福祉法では, 社会福祉事業者による個人情報の取扱いに関して規定している。
2 地域ケア会議では, プライパシ一保護のため, 個人情報を合んだ個別ケースは検討できない。
3 災害対策基本法では, 避難行動要支援者名簿は, 市町村の条例に特別の定めがあれば, 本人の同意がなくても, 平常時から民生委員や消防機関等に提供できる。
4 個人情報の保護に関する法律では, 生命, 身体又は財産の保護のための個人データの第三者への提供に当たっては, 本人の同意が必須とされている。
5 「子ども虐待対応の手引き」 (厚生労働省) では, 児童虐待が疑われる情報があっても, 実態が確認できるまでは通告や相談は避けた方が良いとされている。
これも難しいなあ。非常に重箱の隅を突くような趣味の悪い選択肢ですね。今年の地域福祉は結構鬼門だったかもしれませんね。
選択肢1 誤り。福祉分野における個人情報保護については, 社会福祉法の中には, 記載がありません。こちらにあるように厚生労働省がガイドラインを出していますね。
選択肢2 誤り。ケア会議では複数の機関のスタッフが集まったり, 専門家ではないインフォーマルな人々も参加することがあるので, 同意を得たうえでも個人情報には普段以上に配慮が必要です。ただ, 個別ケースを検討できないわけではありません。
選択肢3 正答。第49条には, 「市町村長は, 当該市町村に居住する要配慮者のうち, 災害が発生し, 又は災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難な者であつて, その円滑か つ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要するものの把握に努める」として, そのために「避難行動要支援者名簿」の作成を義務づけています。この名簿については, 「市町村長は, 災害の発生に備え, 避難支援等の実施に必要な限度で, 地域防災計画の定めるところにより, 消防機関, 都道府県警察, 民生委員, 市町村社会福祉協議会, 自主防災組織その他の避難支援等の実施に携わる関係者に対し, 名簿情報を 提供するものとする。」とあります。この情報提供については「本人の同意が得られない場合は, この限りでない。」としているのでなんとなくおかしく感じますが, 条文には, 「当該市町村の条例に特別の定めがある場合を除き」とありますので, 条例などで予め決めておけば本人の同意がなくてもよいといえます。これはかなり難しい。
選択肢4 誤り。第18条には「ただし, 人の生命, 身体又は財産の保護のために緊急に必要がある場合は, この限りでない。 」と記載されています。むしろ「緊急の場合には本人の同意は必要ない」という意味ですね。
選択肢5 誤り。ガイドラインを抜粋します。「通告の対象が「児童虐待を受けた児童」から「児童虐待を受けたと思われる児童」に拡大された。これにより虐待の事実が必ずしも明らかでなくても, 子どもの 福祉に関わる専門家の知見によって児童虐待が疑われる場合はもちろんのこと, 一般の人の目から見れば主観的に児童虐待があったと思うであろうという場合で あれば, 通告義務が生じることとなり, 児童虐待の防止に資することが期待される。」
これはかなり厳しかったなあ。。