第28回-精神専門17

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問題17 日本におけるうつ病又は大うつ病性障害の疫学に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 心疾患患者における大うつ病性障害の有病率は一般人口のそれよりも低い。
2 統合失調症で入院している患者数よりも, うつ病で入院している患者数の方が多い。
3 大うつ病性障害の12か月有病率はアメリカよりも低い。
4 大うつ病性障害の平均発症年齢は65歳以上である。
5 大うつ病性障害の約1割は何らかの不安障害を併存する。

こんな統計まで見ている人は殆どいないのでノーチャンスって感じがしますねえ。。一応見ていきましょう。なんとか少しでも選択肢を減らしたい。

選択肢1 誤り。心筋梗塞後の大うつ病性障害は16%に上るなどのデータがあるので, 「低い」ではなく「高い」の誤りだと思います。これは, そもそも心臓疾患にかかりやすい人の性格傾向とうつになりやすい人の性格傾向そのものが似ている (タイプA ) と言われているのでこれはなんとか外せたかな。

選択肢2 誤り。これは過去何回か出題されています。日本の精神科病院に入院者を疾患別に見ると, 統合失調症が最も多く約6割を占めます。気分障害の入院者は近年微増傾向にありますが, 10%前後で推移しています。これも外せたはず。

選択肢3 正答。この論文の表3に書いてあるけどこれで合ってるかなあ。ちなみに12ヶ月有病率は「過去12ヶ月間に診断基準を満たした人の割合」です。人口中にどのくらい大うつ病の方がおられるかの指標の一つですね。アメリカよりも日本が低いとのことです。ちなみに世界的にはフランスが多いみたいですね。

選択肢4 誤り。平均発症年齢は40歳前後で, 約半分が20歳から50歳の間に発症するといわれています。老年期うつもありますが, 平均年令65歳はちょっと行き過ぎかな。これも外せたはず。

選択肢5 誤り。これどこみたらいいのかなあ。海外のデータでは大うつ病の85%の人は不安症状を併発すると言われているので, 1割はいくらなんでも少ない。これも外せたはずです。

最初難しいと思いましたが, 詳しく読んで行くと消去法で3しか残りません。こういう問題を確実に解けるかが合否の分かれ目になりそうです。さてあと一問。

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