第28回-精神専門49-51

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さあ事例問題なので3問連続ということは今日は4問進んだことになるのか。
がんばっていきましょう!

〔事例〕
Mさん (67歳, 男性) は大学を卒業し会社員として勤めていたが, 35歳で統合失調症を発症したため退職し, 障害厚生年金を受給した。56歳からU精神科病院に6回目の入院をしていた。両親は既に他界しており, きょうだいがいないMさんには身寄りがない。Mさんは時に幻聴と被害妄想が再燃して頭を抱えて臥床することもあるが, 同室の患者と談笑する一面もあった。長期間の入院で生活能力や身体的機能の低下がみられ, 身の回りの整理や着替えなどに一部介助が必要な状態である。U精神科病院のA精神保健福祉士は, 退院に消極的なMさんを何とか退院に導きたいと, 2年前からMさんに外出グループのリーダーをお願いしていた。また, 長期入院経験者を病院に招いて, 退院後に利用できるサービスや, 自分なりの生活が送れる楽しさを語ってもらうなど, 退院後のイメージが持てるように, 様々な働きかけを続けた。その結果, 少しずつMさんの気持ちが退院に向くようになってきた。 (問題49)
A精神保健福祉士は院内のカンファレンスでMさんの変化を伝え, 退院に向けたケア会議を開いた。会議にはMさんも含め, 地域包括支援センターの社会福祉士と, 指定一般相談支援事業所のB相談支援専門員に参加してもらった。会議の結果, Mさんの退院に向けて取り組むことを全員で共有した。社会福祉士からは, Mさんの退院後の支援については介護保険も利用できるため, 要介護認定申請と介護保険サービスに関する説明があった。 (問題50)
B相談支援専門員がMさんに地域移行・地域定着支援に関して丁寧に説明したところ, Mさんは時々夜になると不安が大きくなることや, 年をとってきたため家事や金銭管理に自信がないと語った。その後Mさんは要介護1の認定を受けるとともに, 地域移行・地域定蒲支援を利用して退院した。 (問題51)
現在Mさんは, 地域で展開している「ふれあい・いきいきサロン」に時々顔を出すな ど, 自分なりの生活を楽しんでいる。

問題49 次のうち, A精神保健福祉士が行ったアプローチとして, 適切なものを1つ選びなさい。
1 ナラティブアプローチ
2 エンパワメントアプローチ
3 心理社会的アプローチ
4 問題解決アプローチ
5 課題中心アプローチ

よく出る問題ですのでしっかり復習して起きましょう。この問題を復習していればとけたはず!!自分コピペ!

選択肢1 誤り。ナラティブ・アプローチはクライエントが「自己」について否定的なストーリーを抱き, それを変えることができない状況下でクライアントをエンパワメントすることを目標にしています。例えば「おれは駄目な人間なんだから何をしても意味がない」このようにクライエントのなかで確立しているストーリーをドミナント・ストーリーといいます。援助の過程の中で, ドミナント・ストーリーを解体し, クライエント自身が新たにオルタナティブ・ ストーリーを構成していきます。事例の中では, 本人の語りなどについては言及していないので誤りだと思います。

選択肢2 正答。自己の能力への不安から退院について消極的なクライアントに対し, グループのリーダーをお願いするなどの関わりで自己効力感(エンパワメント)を高めています

選択肢3 誤り。心理社会的アプローチは, ホリスが有名です。クライエントと環境との間を意識的に調整し, その人物のパーソナリティの変容・発達を図るという意味合いで捉えればいいかと思います。事例とは少し離れているのではないでしょうか。

選択肢4 誤り。問題解決アプローチは,  パールマンによって提唱されました。パールマンは個別援助は援助者と利用者とがそれぞれの役割を演じる問題解決過程であるとし, 利用者がサービスや援助を自分にとって
どれだけ役立てられるというワーカビリティという考え方も提唱しています。事例とは直接関係ないかなあ。

選択肢5 誤り。課題中心アプローチは, プラグマティズムを元にしたアプローチで, クライエントの訴える問題を優先し,利用者と援助者が協力して解決しやすい方法を探る方法です。短期的なアプローチを原則としていますし, 事例のアプローチとは遠いですね。
問題50 次のうち, このケア会議で説明された, Mさんが利用できるサービスとして, 適切なものを1つ選びなさい。
1 認知症対応型共同生活介護の利用
2 短期入所生活介護の利用
3 養護老人ホームへの入所
4 施設入所支援の利用
5 訪問介護の利用

選択肢1 誤り。認知症対応型共同生活介護は介護保険の地域密着サービスの一つです。ただ, これは言うまでもないなあ。。だって認知症じゃないもの。。。

選択肢2 誤り。病院から退院を目指しているのに, いきなりショートステイってのはちょっと考えにくいですね。ショートステイは在宅で生活している方が一時的に特別養護老人ホームに入所するためのサービスです。介護者が一時的に本人のサポートが困難になった時などに利用されるサービスですね。

選択肢3 誤り。養護老人ホームは, 基本的には病気がなく介護を必要としない自立した65歳以上の高齢者の方を対象としています。事例を見る限り、「病気がなく介護を必要としない自立した」という条件には当てはまりませんね(誤りがあったため修正しました)。

選択肢4 誤り。施設入所支援は, 施設に入所する障害のある方に対して, 主に夜間において, 入浴, 排せつ, 食事等の介護, 生活等に関する相談・助言のほか, 必要な日常生活上の支援を行うサービスです。退院というニーズや, 介護保険優先の原則から行っても当てはまらないと思います。

選択肢5 正答。要介護1でも利用できますし, 在宅での生活を目指すという意味では訪問看護が最も当てはまるサービスだと思います。

問題51 退院時にB相談支援専門員が立てた地域移行支援計画に関する次の記述のうち, 適切なものを1つ選びなさい。
1 就労継続支援A型事業所に通う。
2 成年後見制度を利用する。
3 夜間の電話連絡が取れる体制を作る。
4 通院時に行動援護を使う。
5 訪問入浴介護を利用する。

選択肢1 誤り。事例中に就労へのニーズは語られていません。また就労継続A型の対象年令は65歳までなのでMさんは利用できませんね。B型なら可能性はあると思います。

選択肢2 誤り, 事例の中では, 本人の判断能力に関しての情報がありません。前後の文脈からは直ちに成年後見人制度の利用を検討する必要性はないと思います。

選択肢3 正答。地域定着支援においては, 夜間に24時間体制で相談に応じられる相談支援事業所の体制整備が求められます。実際, Mさんのように長期入院後, 本人が不安な状態では, 夜間でも誰かがサポートできる体制が重要になってくると思います。

選択肢4 誤り。行動援護は, 行動に著しい困難を有する知的障害や精神障害のある方が, 行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護, 外出時における移動中の介護, 排せつ, 食事等の介護のほか, 行動する際に必要な援助を行うものです。障害支援区分が区分3以上で, 障害支援区分の認定調査項目のうち行動関連項目等(11項目)の合計点数が8点以上という制限がありますので, Mさんには当てはまりません。

選択肢5 誤り。事例の中では入浴ができないという本人のニーズは全く語られていませんねー。要介護度の関係から見ても, 訪問入浴をケアプランに積極的に入れる理由は見つかりません。

 

ふー。今日はここまでー。

 

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