第28回-精神専門58-60

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次の事例を読んで, 問題58から問題60までについて答えなさい。

さて, この科目の締めも事例問題です。なんだか元気のでる内容の事例問題でした。精神専門問題もあと20問。だいぶ先が見えてきましたね!

〔事例〕
Gさん (30歳, 女性) は18歳で統合失調症を発症し, 入院を経験しながらも, 25歳 で農業大学校を卒業して, 父親が代表を務める農業法人でいちご加工部門を担当している。受診は継続し, 時には周りのことや対人関係が気になることもあるが, 自分で対処できるようになってきた。受診先のH精神保健福祉士はGさんの初診時から何かと相談に乗っていた。3年前に「仕事そのもの自信がついてきたけれど, 商談や仕事関係の会合はやはり疲れる。どこか引け目を感じ, 病気のせいかなとか思ってしまう」と相談された際は, 交流を目的に発足したばかりの当事者活動グループを紹介した。 (問題58)
Gさんは当事者活動の中で, 精神保健ボランティア講座の企画・実施に加わり, 自分の体験談を話す機会を得てから, 次第にグループの中心メンバーになっていった。「メンバーが増えない。活動への参加者が減ってきて, いつも同じメンバーしか参加しない」などグループ活動の悩みを相談されたH精神保健福祉士は, 社会福祉専門職団体の連絡会でも当事者活動の支援が課題となっていたこともあり, Gさんと話合いを重ねた。その中から, 様々な当事者活動の交流会を開催したらどうかというアイデ アが生まれ, 昨年春にはいくつかの当事者活動グループに社会福祉専門職団体が協力 して当事者活動交流会を開催した。(問題59)
交流会の実行委員を務めたGさんは, そこで難病家族会のメンバーJさんと知り合った。Jさんは農学部出身ということもあって話が合い, 交際が始まり, 最近婚約した。Jさんの横で「また調子を崩すんじゃないかと不安はある。自分を大切にして, これからもチャレンジしていきたい。もうひとりじゃないし」とH精神保健福祉士に語るGさん。その場でGさんとJさんから, 障害者が中心となって障害者だけでなく地域にも貢献できる新しい活動を始めたいという夢がH精神保健福祉士に語られた。そこでH精神保健福祉士は, 各地の情報や経験を集めながら何が自分たちの暮らしや地域に役立つのか, ゆっくりと, 一緒に考えていこうと提案し, 二人も領いた。 (問題60)

問題58 次の記述のうち, この時点でH精神保健福祉士が行ったGさんへの支援の目的として, 適切なものを1つ選びなさい。
1 コミュニケーションスキルを身につける。
2 対人緊張への対処法を学ぶ。
3 別の働きやすい職場を創り出す。
4 自信を取り戻す機会を提供する。
5 グループをまとめる力を獲得する。

うーむ。結構悩むなあ。現代文の試験みたいですね。

選択肢1 誤り。誤りって感じではないですけど, 目的としてコミュニケーションスキルを身につけるのであれば, SSTの方が良さそうです。結果としてそのスキルが身についたとしても, 当事者グループに参加する主要な目的にはなりにくいですね。

選択肢2 誤り。「自分で対処できるようになってきた」といありますし, これが主要な目的ではありません。これも選択肢1と同じかなあ。

選択肢3 誤り。この選択肢は一番最初に削れそうです。自分で対処できることも増えていきている状況では, 「働きやすい職場を作り出す」というのは現実的な方法ではありません。

選択肢4 正答。当事者活動でエンパワメントを高めるという意味ではこの選択肢が最も適切だと思います。

選択肢5 誤り。結果的にグループを引っ張る存在にはなったかもしれませんが, グループをまとめる立場で当事者活動に参加したわけではないと思います。

 

問題59 次のうち, この時点でH精神保健福祉士が行った支援として, 正しいものを1つ選びなさい。
1 グループワーク
2 リフレーミング
3 コラボレーション
4 ソーシャルサポートネットワーク
5 アドボカシー

おっよくみる用語説明。これは解いておきたいですね。

選択肢1 誤り。グループワークでは, メンバー間相互の影響を受け, 個人が変化する過程を支援します。事例がまったく当てはまらないわけではありませんが, あくまて当事者の活動なのでH精神保健福祉士が, グループに対して主体的に働きかけているわけではありませんね。

選択肢2 誤り。リフレーミングとは, 出来事の枠組みを加えることで, 出来事に別の視点を持たせるものです。例えば, 頑固な人は「意思の強いひと」と言い換えることができますね。これは事例は関係なさそう。

選択肢3 正答。コラボレーションとは複数の立場で行われりう共同作業のことです。事例の中では「様々な当事者活動」に対して専門職団体が協力していることから, これが近いんじゃないかなあ。

選択肢4 誤り。介護110番からコピペ。ソーシャル・サポート・ネットワークとは , 「 社会生活を送る上でのさまざまな問題に対して, 身近な人間関係における複数の個人や集団の連携による支援体制」のことをいいます。もちろん無関係ではないですが, 事例とは少し遠そう。

選択肢5 誤り。アドボカシーの説明はもういいよね。。。こちらを参考にしてください。

問題60 次のうち, GさんJさんたちとH精神保健福祉士の関係として, 正しいものを1つ選びなさい。
1 リーダーシップ
2 フォロワーシップ
3 メンバーシップ
4 シチズンシップ
5 パートナーシップ

これはサービス問題なのかなあ。出題者がシップシップ言いたかったのかもw一応解説。。

選択肢1 誤り。リーダーシップは, 指導的にある立場の人間がそのフォロワーと活動していく一連の過程です。精神保健福祉士とクライアントの関係は対等な関係なので誤りです。

選択肢2 誤り。フォロワーは, リーダーを補佐する人のことで部下やチームメンバーをさすもの。選択肢1と逆の説明ですね。

選択肢3 誤り。ググりました。メンバーシップは「集団に所属するメンバーが, 各自の役割を果たすことで全体に貢献すること。」事例とは離れてそう。

選択肢4 誤り。シチズンシップは「市民としての身分。公民権」という意味です。社会権などを指すんじゃないかなあ。

選択肢5  正答。パートナーシップは, 支援の過程でよく使われる言葉です。社会福祉士の倫理綱領でも「 社会福祉士は, 利用者との専門的援助関係とともにパートナーシップを尊重しなければならない。」という一文があります。このパートナーシップは, 当事者主体の対等な関係性を指します。

おわったー。もう4年目なので事例問題の解説は結構慣れてしまってうんざりしている自分がいます。この科目も終わりあと20問。このペースで行けば6月中には専門科目は終わりそうです。

 

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