第27回–精神専門2

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問題2 うつ病に関する次の記述のうち, 正しいものを2つ選びなさい。
1 妄想を生じることがある。
2 興味や喜びの喪失がみられる。
3 確定診断には, 脳波検査が必要である。
4 精神療法では, 精神分析が最も有効である。
5 治療薬として, ベンゾジアゼピン系薬剤が第一選択である。

うつ病に関する問題です。いろいろ言い切ってしまっているのでどうかなあと思う内容もありますが, 一般的な知識で解けば解答は導きだす事ができるように思います。

選択肢1 正答。妄想と言えば, 統合失調症を思い出す場合が多いですが, うつ病においても, 妄想が認められることはまれではありません。罪業妄想, 貧困妄想, および心気妄想などが知られています。一応, それぞれの説明も。

1) 罪業妄想 自分の行為や心の動きに罪悪感をもち,自分自身を責める妄想です。行為が取るに足りないことでも, 取り返しのつかない罪深いことをしてしまったと自らを責めるような状態になります。

2) 貧困妄想 経済的には問題がないはずなのに, 極端にお金の心配をしてしまうような妄想です。「このまま病気が治らなければ, 息子も娘も高校を辞めて働かなくてはいけない」などように思い詰めた状態になります。

3) 心気妄想 自分が重篤な病気にかかっていると思いこむ妄想です。ちょっとした症状でも「死ぬに違いない」というように思い込んだりしてしまいます。

選択肢2 正答。これは明らかに正解です。「興味や喜びの喪失」はうつ病の主症状の一つですね。

選択肢3 誤り。脳波は, てんかんの診断基準にはなりますが, うつ病の確定診断に使用されません。うつ病の診断基準は, こちらを参考にしてください。これらの診断は問診や心理検査によって医師によって総合的に判断されますね。

選択肢4 誤り。うつ病のクライアントに対しては精神療法には, 一般的な支持的精神療法認知行動療法, 対人関係療法などが有効です。精神分析もまったく使われないとは言えませんが, 「最も有効」という表現には語弊がありそうですね。

選択肢5 誤り。ベンゾジアゼピン系薬剤は, 抗不安や睡眠薬として使用されるものです。うつ状態にあるクライアントに与薬されることもありますが, 第一選択というわけではありません。うつ病については, 三環系抗うつ薬, 四環系抗うつ薬, SSRI, SNRIなどが有名ですね。こちらのサイトを一度呼んでみて作用機序について理解しておくといいのではないでしょうか。

今日はここまでー。なんとか二日連続。。

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