第27回–共通科目78

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問題78 親権者の行為に関する次の記述のうち, 正しいものを2つ選びなさい。
1 子どもの監護教育に必要な範囲内で, その子どもを懲戒することができる。
2 未成年の子どもの携帯電話サービス契約を取り消すことはできない。
3 未成年者が結婚すると, 居所を指定することはできない。
4 未成年者に代わって, 労働契約を締結できる。
5 子どもと利益が相反する法律行為であっても, 自ら子どもを代理して行うことができる。

おお珍しいタイプの問題ですね。基本的には民法の内容を問う問題ではないでしょうか。これはちょっと難しかったかもなあ。

選択肢1 正答。親の子どもに対する懲戒権は, 民法に規定されています。条文二つを抜粋しておきます。第820条(監護及び教育の権利義務) 親権を行う者は, 子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し, 義務を負う。第822条(懲戒) 親権を行う者は, 第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。

選択肢2 誤り。第5条を抜粋します。

第5条(未成年者の法律行為) 1 未成年者が法律行為をするには, その法定代理人の同意を得なければならない。ただし, 単に権利を得, 又は義務を免れる法律行為については, この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は, 取り消すことができる。

ということで, 民法では未成年者を保護するために「未成年者が親権者の同意を得ないで契約した場合, その契約は後で取り消すことができる」でいいと思います。

選択肢3 正答。難しいなあ。民法821条 (居所の指定) では, 「子は, 親権を行う者が指定した場所に, その居所を定めなければならない。 」とあります。つまり, 未成年がどこに住むのかは親権者として決めることができます (別居でも別によい)。一方, 753条 (婚姻による成年擬制) では, 「未成年者が婚姻をしたときは, これによって成年に達したものとみなす」とあります。親権者は読んで字のごとく親として未成年者に対して権利と義務を持つ人ですから, 成人すると親ではあっても親権は失います。そして婚姻した場合には成人したと同様に扱うということですね。

選択肢4 誤り。選択肢2で説明した民法の原則と同じく, 未成年者の労働契約の締結には法定代理人である親権者の同意が必要で, この同意が無い場合に親権者は当該労働契約を取消す事が出来きます。一方, これはあくまで同意であり代理で労働契約を締結したというわけではありません。

選択肢5 誤り。利益相反行為については良く出題されますね。民法の826条によると, 「親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については, 親権を行う者は, その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない」とあります。例えば, 相続などでこういう利益相反行為がありえます。このページがわかりやすいので確認してみてください。

今日はここまでー。

 

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