第28回-精神専門55-57

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次の事例を読んで, 問題55から問題57までについて答えなさい。

さて, 事例問題。 なんか今年のこの科目の事例問題全体的に意味がわからないですが, 今日も3問連続がんばりまっしょい!

〔事例〕
Eさん (15歳, 女性) は, 中学2年生の夏より不登校傾向が強まっていた。3年生になり, 周囲の同級生の間で進学先の話題が増え, 三者面談が始まる中で, 将来への不安が増大して悲観的に考えるようになった。そして, 2学期から全く登校しなくなり, 部屋にひきこもるようになった。そこで, W中学校では市の教育委員会に配属されたスクールソーシャルワーカーのF精神保健福祉士の派遣を依頼した。F精神保健福祉士はW中学校を訪れ, 担任や校長からEさんに関する情報収集を行った。その後, F精神保健福祉士による家庭訪問が始まった。初回の家庭訪問を担任と一緒に行ったが, 本人は自室に鍵をかけ出てこなかった。母親との面談から, 親子間の会話も少なく, オンラインケームに熱中し, ゲームへの課金による多額の請求がきていることなどが分かった。また, 父親がうつ病で入院していることも分かった。 (問題55)
F精神保健福祉士による定期的な訪問や声かけの結果, Eさんと直接会うことができ, 日常的な会話もできるようになってきた。Eさんからは, 「みんながどう思っているのかな」「学校に行っても何て話しかけたらいいか…」「進学したいけど, どうかな」「アルバイトとかで働けるのかな」などの希望や不安が示された。そこで, F精神保健福祉士は間近に迫る進路決定や卒業などを念頭に入れ, 支援を継続した。Eさんは冬休み明けには少しずつ登校もできるようになり, 卒業を迎えた。その後Eさんは定時制高校に進学し, まだ時折欠席もあるが, 日中は関係機関を利用しながら生活をしている。 (問題56)
Eさんに対するF精神保健福祉士の一連の支援が終結し, 年度明けにW中学校の職員室において教職員に今回のまとめを報告する機会があった。そこで複数の教職員からメンタルヘルス課題のある生徒への対応や支援で悩みを抱えているとの相談があり, ある提案を行った。 (問題57)

問題55 次の記述のうち, この時点でのF精神保健福祉士の対応として, 適切なものを1つ選びなさい。
1 インターネットの接続を遮断するよう提案する。
2 父親の病状について主治医から説明を受ける。
3 母親へクラスの様子等の情報を提供するよう担任に促す。
4 Eさんの部屋の鍵を開けてもらうよう依頼する。
5 親子関係の再構築のための助言をする。

どれもこれも誤りだと思うなあ。。。これ正答ないよねえ。。

選択肢1 誤り。なんかスパルタすぎですねえ。。事例を読む限りEさんにとってのセーフティネットであるインターネットの接続を遮断するってのは行き過ぎだと思います。

選択肢2 誤り。うーむ。一応今の段階では。Eさんへの支援なので優先順位は低そうです。ただ本人の許可が得られれば, 環境のアセスメントという意味で十分にありえそうです。試験本番で見たら僕はこれを選びます。

選択肢3 正答。ということですが納得出来ないなあ。この時点でどの程度不投稿傾向が続いているのかよくわかりませんが, 事例の内容を見る限り, 結構続いているように思います。この時点で担任から母親に情報提供ってよく理解できない。。。だれかわかるように説明してないかなあ。

選択肢4 誤り。この選択肢は明らかに変です。そもそもすべての選択肢の主語述語がわかりにくて, 誰に依頼するのかよくわからない。。母親に??Eさんに??

選択肢5 誤り。この事例の中の情報だけでは「親子関係の再構築」がそもそも必要なのかどうかがわからないです。さらに, 精神保健福祉士は治療者ではないので, こういうアドバイスはあまりしないと思います。

 

問題56 次のうち, Eさんが利用している関係機関として, 適切なものを2つ選びなさい。
1 地域若者サポートステーション
2 訪問看護ステーション
3 地域活動支援センター
4 ひきこもり地域支援センター
5 地域障害者職業センター

日本語おかしくないですか?「利用している可能性のある関係機関」ならわかるけど・・・。「利用している関係機関」ってそもそもフィクションなのに。。。

選択肢1 正答。地域若者サポートステーショ(サポステ)は, 働くことに悩みを抱えている15歳~39歳までの若者に対し, キャリア・コンサルタントなどによる専門的な相談, コミュニケーション訓練などによるステップアップ, 協力企業への就労体験などにより, 就労に向けた支援を行う機関です。事例の中には, 「アルバイトとかで働けるのかな」という本人のニーズがあるので選択肢と十分に考えられます。

選択肢2 誤り。「F精神保健福祉士による定期的な訪問や声かけ」がうまく言っている中で, 他の訪問系のサービスを利用するのは少し考えにくそうですね。そもそも療養をしているわけではないので, 看護系の訪問サービスの対象にもならないんじゃないかな。

選択肢3 誤り。 地域活動支援センターは, 障害者の創作的活動, 生産活動, 社会との交流の促進を目指す事業。地域活動支援センターの機能強化を図るために専門職の配置, 地域住民ボランティア育成, 生きがい事業などを展開する場所です。Eさんが利用する可能性がないとは言えませんが, 障害者総合支援法の関係機関であるこのセンターを積極的に利用する社会資源とは考えにくいですね。

選択肢4 正答。厚生労働省のページからコピペ。
ひきこもり地域支援センターは, ひきこもりに特化した専門的な第一次相談窓口としての機能を有し, 都道府県, 指定都市に設置される施設です。このセンターでは, ひきこもりの状態にある本人や家族が, 地域の中でまずどこに相談したらよいかを明確にすることによって, より適切な支援に結びつきやすくすることを目的としたものであり, 本センターに配置される社会福祉士, 精神保健福祉士, 臨床心理士等ひきこもり支援コーディネーターを中心に, 地域における関係機関とのネットワークの構築や, ひきこもり対策にとって必要な情報を広く提供するといった地域におけるひきこもり支援の拠点としての役割を担うものです。事例にフィットした社会資源だと思います。

選択肢5 誤り。地域障害者職業センターでは, 精神障害のある方(躁うつ病, 統合失調症その他の精神性疾患がある方)や精神障害のある方を雇用している事業主に対し, 主治医との連携の下で, 雇用促進, 職場復帰 (リワーク支援), 雇用継続のための専門的支援が行なわれています。本人のニーズ, 状態像からみても事例では積極的に使用するというふうには考えにくいのではないかと思います。

問題57 次のうち, この時点でF精神保健福祉士が提案した内容として, 適切なものを1つ選びなさい。
1 特別支援学校の紹介
2 児童相談所への迅速な通告
3 教職員間における情報の共有
4 Eさんの体験発表会の開催
5 障害福祉サービスの説明会の実施

この問題はよくある「一番無難なヤツと選べ」という問題ではないでしょうか。

選択肢1 誤り。特別支援学校は, 視覚障害者, 聴覚障害者, 知的障害者, 肢体不自由者, または病弱者(身体虚弱者を含む)に対して, 幼稚園, 小学校, 中学校または高等学校に準ずる教育を施すとともに, 障害による学習上または生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的としています。メンタルヘルス課題のある生徒をすぐに紹介するような性質のものではありません。

選択肢2 誤り。児童相談所は有効な社会資源のひとつですが, 学内で起こったことを全て外部に通告して, 丸投げしてしまうのもどうかなあと思います。

選択肢3 正答。これはまあ当たりまえのことですよねえ。当たり前すぎでちょっと選びにくいかもしれませんが。。

選択肢4 誤り。しんどい状況を乗り越えたロールモデルとしての体験発表会は十分に考えられますが, メンタルヘルス課題のある学生がすべてEさんと同じ悩みを抱えているとは限りません。

選択肢5 誤り。いや早急すぎでしょう。。。

今日はここまでー。あと事例問題1つ!

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