第25回-共通科目77

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事例を読んで, 次の記述のうち, 化粧品の購入契約についての消費生活センターの相談員の助言として, 適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
一人暮らしのEさんは認知症で判断能力が不十分な状態である。ある日, 家を訪ねてきた化粧品会社T社の若いセールスマンFの熱意に根負けして高価な化粧品を50万円で購入したが, 契約書面はまだ受け取っていない。2週間後, Eさんが見慣れない化粧品を使っているのを発見したヘルパーが, 事情を聴いた上で, Eさんを消費生活センターに連れて行った。
1 Eさんは認知症なので, 制限行為能力を理由に取り消すことができる。
2 クーリングオフ制度を利用して解約することができる。
3 開封・使用しているので解約することができない。
4「困惑」 (消費者契約法第4条) を理由に取り消すことができる。
5 「誤認」 (消費者契約法第4条) を理由に取り消すことができる。

さて, 最後の科目です。この問題は, 解答速報後非常に揉めていた科目ですねー。

選択肢1 誤り。これは明らかに誤りですね。制限行為能力者とは, 単独の法律行為などに制限をかけられる者で, 未成年者, 成年被後見人, 被保佐人及び一部の被補助人がそれにあたります。
事例読むとEさん認知症とありますが, それですなわち制限能力者にはなりません。成年後見人制度を利用していれば正しい選択肢になりますね。

選択肢2 正しい。クーリングオフについてはその期間が8日間と決められています。事例では2週間となっているので, 当初はこれは誤りと言われていました。争点となるのは, 「契約書面はまだ受け取っていない」という部分ですね。書面による契約日がクーリングオフの基準となる日になります。そのため, この時点ではクーリングオフの対象になります。

選択肢3 誤り。これは微妙ですね。クーリングオフ制度では, 開封すると著しく価値の落ちるもの (消耗品) については開封した部分に関しては解約できないとしています。ただ, これも契約書がないので可能という判断でいいと思います。

選択肢4 誤り。消費者契約法に関する問題ですね。こちらを参考にしました。消費者契約法の中で解約できるものについて困惑というものがあります。ここで焦点となるのは, 不退去による困惑ですが, これは「消費者の住居や仕事場から退去を要求する意思表示をしたにもかかわらず退去しないため, 自由な意思決定ができないまま契約する」という意味です。事例では「熱意に負け」とはありますが, 「帰ってくれ」などと意思を明らかにしたわけではありませんね。ただ, これも表現によっては微妙な問題だと思います。

選択肢5 誤り。誤認とはセールスマンが価値が異なっているように告げる不実告知などがあたりますが, 本文中にはそのような記述がありませんねー。

この問題はいろいろ突っ込みどころが満載です。ネット上でもかなり荒れていましたし, 正直不適切な問題とするべきではなかったかと思います。特に7点科目なので, この1問のせいで落ちてしまった人もいるかと思いますし, こういう荒れた問題については試験センターもなんらかの措置をすべきではないのかなあ。

まあ, 愚痴っても仕方がないので試験を受けるときには, こういう問題が一定数あることは折り込み済で解ける問題を確実に解いておくことが必要になるのでしょうねー。

よし, あと一問やるぞーー!!

カテゴリー: 第25回共通科目, 権利擁護と成年後見制度 パーマリンク