第25回-共通科目82

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事例を読んで, Gさんへの対応に関する次の指摘のうち, 最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Gさん (70歳, 男性) は独居で身寄りがなく, 初期認知症及びADL低下のため日常生活自立支援事業 (以下「支援事業」という。) 及び訪問介護を利用していた。あるとき, Gさんが自宅で倒れているのを訪問介護員が発見し, 救急搬送した。訪問介護員は介護支援専門員及び支援事業の生活支援員に連絡し, いち早く駆けつけた生活支援員が医師に服薬や心身状況などを説明して入院治療が行われた。2か月の入院加療でGさんの身体状況は改善したが, 認知症が悪化し, 医師から後見類型相当との診断がなされたので, 市町村長申立てにより弁護士の後見人が選任された。
後見人はGさんのために支援事業の契約を結び, 引き続き支援事業を利用した。その後, Gさんは脳内出血で倒れ, 後見人が同意して開頭手術が行われた。

1 生活支援員は医師にGさんの心身状況などを漏らすべきではなかった。
2 支援事業の主体である社会福祉協議会が後見の申立てをすべきだった。
3Gさんの同意なく後見申立てしたのであれば問題だ。
4 後見人が選任されたので, Gさんの支援事業の利用は禁止されるはずだ。
5 弁護士の後見人であっても, 手術に同意する権限はないはずだ。

成年後見に関する事例問題です。これは難問です。。消去法でなんとか解けるかもなあという問題でした。ちなみに日常生活自立支援事業については今回の試験で4回目に出てきましたね。

選択肢1 誤り。生活支援員は, 自立生活支援事業の契約締結後, 生活支援計画にもとづき定期的な支援を行います。このケースの場合には, 本人の状況などについて理解している専門職の一人であり, 危機的な状況で本人の同意が得られなかったとしても個人情報保護の対象にはなりませんね。

選択肢2 誤り。後見の申し立て権者についてはこちら。社会福祉協議会は該当しません。

選択肢3 誤り。成年後見制度はそもそも判断能力に不安があるので行うものだと思います。そのため, 本人の同意は必須ではありません。事例のケースでは, 老人福祉法32条「市町村長は, 六十五歳以上の者につき, その福祉を図るため特に必要があると認めるときは, 民法第七条 , 第十一条, 第十三条第二項, 第十五条第一項, 第十七条第一項, 第八百七十六条の四第一項又は第八百七十六条の九第一項に規定する審判の請求をすることができる。 」により, 後見開始の審判の請求を行うことができます。

選択肢4 誤り。これは盲点の問題でした。日常生活自立支援事業は成年後見人制度を補完するものとイメージもありますが, 後見を始めたからといって自動的に前者が中止になる訳ではありません。

選択肢5 正しい。なんとも判断しにくい問題です。成年被後見人の手術同意についてはこちらが詳しいですねー。なぜこんな問題が起こっているかというと, 元々成年後見人制度が財産保護の見地から始まった制度であることが上げられます。医療行為を受けることの契約について同意するには,後見人に同意見があるけれども, 医療行為の同意は法律行為とはいえないというなんとも言えない課題が残されているんですね。

現状では後見人は, 医療の契約を本人に代わってできるが, 手術同意は後見人の代理権の範疇を超える。ただ, これについては時間の問題で変わるだろうと覚えておく感じでしょうか。

ということで今日はここまで。さーあと一問〜〜!!


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