すべての科目を終えて。

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終わったー終わったー!!

思えば, 全ての科目を解説して行くというチャレンジを思いついたのが, 今年の1月末。結局6ヶ月くらいかかってしまいました。一日一問のつもりがなかなか予定通りに進まなかったりでしたが, なんとか一年分の過去問を終えることができました。一部の読者の方から, 「さらに過去の問題にもチャレンジ!!」と言われたりしましたが, ちょっとその元気はなさそうです。

受験に挑む方は, 最低でも過去3年分は勉強ですから, あと320問くらいですね!!各社の過去問を購入してしっかりと勉強されますようにー。このBlogでは丁寧に解説したつもりですが, 実際の問題集はもうちょっと解説が少ないと思います。疑問に思ったことなどはテキスト等で調べて理解することが大事だと思います。一日1問から2問必ずやる様にがんばりましょうー!!応援しています!

このBlogの内容については間違っている部分もあると思うので, なにか不明な点があれば問い合わせください。こちらのページから問い合わせできます。もちろん, その他の質問もお気軽にどうぞー。

一年分の問題をじっくりと見てまとめるのは, いい勉強になりました。知っていると思っていた内容でも, 改めて見直してみると違った側面が見える様になりました。来年も (元気があれば) チャレンジしてみようかなー。さて, 試験の問題を見ていて思う事が何点かありました。偉そうにいうほど試験に詳しいわけではありませんが, 何点かに分類して論評してみようと思います。なにか誤解があれば教えてくださればありがたいです。

 

1)  問題形式の変更について

 今年から一部の問題で形式が変更されていました。過去の試験問題を見ると, ○×○○などの出題形式が主流だった時代, 「誤っているものを選べ」が多かった時代もありましたが, 近年はほとんどの問題が「正しいものを選べ」となっていました。ところが, 本年は10問近くが「正しいものを二つ選べ」という内容に変わっていましたね。今後もこういった出題傾向の変更は予告なく行われると思います。一番変わってほしくないのは, 「誤っているのをすべて選べ」というような正答数を規定しない問題形式です。これは他の国家資格ではすでに使用されている形式なので, 注意が必要ですね。

問題形式の変更を見ると, 誰がどういう意図をもって変えたのかっていうのが知りたくなります (どこかで公開されてるのかな?)。「変更した方が学力を測るのに適切だ」という理由ならいいと思うのですが, これについての明確な根拠ってあるのかなあ。

もし, 「注意力を測る」みたいな意図で急に変更されたのであれば非常にばかばかしいことだと思います。特に今回の試験では, ほとんどの科目が例年通りの問題形式でごく一部の問題だけが「正答を二つ選べ」でした。確かに, 落ち着いて問題文を読み適切な知識があれば「ん?正答が二つある??」みたいなことは思いつくかもしれませんが, 一年に一度しかない試験で気持ちもバクバクしてる状況だと, 僕自身も本番で冷静に対処できたかどうかは自信がありません。今回も突然の問題形式の変更に気づかなかった受験生もたくさんいたんじゃないかなあ。。

 

2) 科目ごとの配点について

今回の試験問題を見ると, 明らかに他の科目で出題されるべき内容の問題があったり, 科目ごとの領域の境目が曖昧となっているように思います。そして科目ごとに明らかに難易度が異なっていますし, 非常に近い内容の問題が複数の科目で出題されてしまっていることも散見されます。社会福祉振興試験センターのページを見ると, 出題基準が大項目・中項目・小項目に分類して記載されています。一方でそこには, 「出題基準は, あくまでも標準的な出題範囲の例示であって, 出題範囲を厳密に限定するものではなく, また, 作問方法や表現等を拘束するものではない。」とも書かれていますが。。。

この状況では科目別の配点を決めているのはなんなのかという疑問が残ります。出題にあたっては, ある程度科目ごとの領域を守らないと0点科目による不合格の位置づけについても明瞭でなくなるのではないでしょうか。0点科目による不合格というシステムについては, 「各領域にバランスの取れた知識がないと合格できない」という意味合いだと僕は理解しています。確かに, 専門科目が70点で共通科目が4点みたいな状態で合格してしまうのは, 資格所持者の質の担保という意味ではよくないでしょうね。

ただ, 今回の試験のように科目ごとの難易度にバラツキがあり, 確実に取れる問題が数問しかないような状況だと, 0点科目による足切りが続出してしまいます。昨今の合格点の低さについては, この0点による不合格者の増加があるのではないかと想像しています。極端な例では, 合格点よりも20点位高い点数を取りながら不合格になってしまうこともあります。この状況は「運 (というか不運)」の入り込む要素が大きく, 不平等ではないかと感じています。

精神保健福祉士の試験は公には「問題の総得点の60%程度を基準として, 問題の難易度で補正した点数以上の得点の者」とありますが, 最終的には, 例年50%位の得点率が合格ラインに設定されています。この合格ラインについても, 誰がどのように決めているのか明らかではないと思います (ある年に突然この合格ラインが上がっちゃう可能性もあります)。また, この正答率は資格のイメージを著しく下げているのではないでしょうか。。実際はどうあれ, 50%の得点率で合格ってあまりイメージはよくありませんよね。

例えば看護師の国家試験については, 80%を満たすことが条件の必修科目と合格ラインが相対評価で決まる一般問題+状況設定問題 (合格基準は60%台後半~70%台前半)に分かれています。このような方法についても模索する必要があるのではないかとも思いますね。

 

3) 問題の内容と公表について

試験問題を改めて勉強していて思った事は, ほとんどの問題はそれぞれの作成された方の意図 「現場で働く精神保健福祉士にはこれを知っていてほしい」が感じられるものでした。一方で, 「なんでこんなこと聞くの?」とか「これを聞いてどうするの?」って思われる問題も散見されました。しかし, これは僕が出題者の意図を読み取れなかっただかなのかもしれません。ネット上で不適切問題ではないかと話題に上っている問題もあります。

おそらく, 試験委員の中ではどのような意図で問題を作成したか, そしてその解説についても共有されているはずです (むしろないとおかしい)。やはり試験センターは, 解答だけではなく問題それぞれの意図や解説を明らかにすべきではないかと思います。試験が終わって数ヶ月経過して, 解答の数字だけ公表するというのは, ちょっと後だしじゃんけんな感じがしますよね。問題の意図と解説の公表があれば, 自分になにが足りないのか復習もできるわけですし, 精神保健福祉士を目指す学生の質の向上に資するのではないでしょうか。

また, 公表といえば問題や科目ごとの得点率についても公表すべきではないかと思います。例えば, 「心理学理論と心理的支援」が, 7点中の平均点が2点で, 出題者の90%が3点, 2点, 0点, 1点に偏っているというような得点の分布があるとすれば (これはあくまで例えです), それはそもそも精神保健福祉士に必要な心理学的な知識を測る問題として適切であったのかどうかについて疑問が残ります。さらに, 受験者のほとんどが間違えている問題もあるかもしれません。こういう点が公表されないと, 試験の精度はあがっていかないのではないかと感じます。

 

もちろん, 完璧な試験問題ってものは存在しないですし, どんな問題が出ても後悔しないように努力するしかないのでしょう。また, 試験に落ちても人生が終わる訳ではありませんが。。。しかし, 一年に一度しかない試験で, 合否によってずいぶんと人生計画が変わるものです。できるだけ努力が結果に結びつく様な構造にしてもらいたいなあと思います。まあここで愚痴っても仕方ないことですね。受験生の皆さんには後悔のないように, とにかくできる勉強をしっかりやってほしいと思います。

ではでは, これでしばらくBlogの定期更新は終了します。今後は訂正と質問への解答, 書籍の紹介等不定期に更新する予定です。

受験生の皆様の検討を祈っておりますー!!


カテゴリー: 第25回共通科目, 未分類 パーマリンク