第26回–共通科目16

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問題16 近代の社会変動の趨勢に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 デュルケムは, 異質な個人の分業による有機的な連帯から, 同質的な個人が並列する機械的連帯へと変化していくと考えた。
2 ヴェーバーは, 近代の組織活動において計算に基づく予測可能性が低下すると考えた。
3 テンニースは, 全体意志に基づく第一次集団が解体し, 一般意志に基づく第二次集団が優越するようになると考えた。
4 ジンメルは, 社会的な分化が進むことによって, 人々が相互に交流する範囲としての社会圏が縮小していくと考えた。
5 ベルは, 左右のイデオロギー対立はなくなり, プラグマテイックな社会問題の解決が実現すると考えた。

一日休んじゃうとダメですねー。最近いろいろとやらなければいけないことが多くてかなり長い間休んでいました。ログを解析するとその間もたくさん見にきてくれていたみたいですねありがとうございます。ぼちぼち更新していくので, 長い目で見守ってください。

おー人名がたっぷり出ています。。すべて覚えておかないといけませんが, 1つの選択肢の中で二つの情報があってひっくり返しているだけという問題形式も多いので, 内容をしっかり読み込めばなんとか解けたかも。。。

選択肢1 誤り。デュルケムは「自殺論」で有名な人ですね。彼は, 当時のヨーロッパの社会問題に深い関心を抱いていた人なので, いろいろ社会学的な研究をしています。選択肢は, 彼が「社会分業論」で論じた社会の進化からの出題です。彼は, 社会生活において個人と集団が相互に依存しあう結びつきを機械的連帯有機的連帯に分類しました。前者は,同質的な個人が連帯する形態で, 後者は, 異質な個人の連絡を示します。選択肢は逆になっているので誤りだと思います。

選択肢2 誤り。ウェーバーの官僚制に関する問題はよく出題されるのでチェックして起きましょう。官僚制とは, 組織や集団における管理システムのことを示します。官僚制の特徴として,

1) 標準化 →形式的で恒常的な規則, 業務の公平無私な遂行。

2)階層性→権限のヒエラルキーが明確で指揮命令系統を持つ。

3) 没人格性→感情を排除されたそれぞれの組織構成員が規則や手続に従って行動する。

などが挙げられます。彼は, 組織は最も能率的かつ合理的に機能することで計算可能な予測(誰がやっても同じ結果)が得られるとしました。

選択肢3 誤り。これもよくある設問ですね。第一次集団, 第二次集団はクーリーによって示された概念です。テンニースはゲゼルシャフトゲマインシャフトで有名です。ゲマインシャフトは人間の本質意志によって結びついた人間の集まり (家族, 村落)。一方, ゲゼルシャフトは人間の選択意思によって結びついた目的的集まり (大都市など) です。

選択肢4 誤り。こちらのBlogが非常に分かりやすかったです。ジンメルは「社会的分化論」で有名です。彼は, 小さな集団では, 個人は集団に対して強く融合せざるを得ない一方, 集団の規模が拡大し, 個人主義が強くなった結果, 人々は孤独になると考えました。これらのことを緩和するために, 人々が自らの関心に応じて様々な社会圏で生きられる様になる「交錯する社会圏」が生まれると考えていた人です。社会圏は縮小するわけではないと思うので選択肢は誤りだと思います。

選択肢5 正答。ベルは「イデオロギーの終焉」に, おいて, 豊かな社会の到来とともに, 階級闘争を通じた社会の全面的変革なる理念はその効力を失ったという説を提唱しています。プラグマティックは, 実利的とか実際的という意味です。

うーむ。時間かかりましたー。明日は出来るかな。。

 

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