第26回–共通科目17

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問題17 都市化に伴う地域社会の変化に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 都市化によってまず都心部に人口が集中し, 次いでその周辺の郊外の人口が増えていくが, その後も都心部の人口が減少することはない。
2 都市化によって人口量と人口密度が増大し, 社会的な異質性が高まっても, 人々の社会関係や生活様式は変化しない。
3 都市化によって親族や近隣の地域集団は解体されていく傾向がみられるが, 家族や親しい友人とのパーソナルな関係がなくなるわけではない。
4 都市化によって生活基盤の不充足等の社会問題が現れても, 住民自身がその充足を目指す活動を起こすことはない。
5 都市化によって公的なサービスが整備されれば, 地域社会におけるボランティア活動や相互扶助的なサービス提供は必要でなくなっていく。

都市化については昨年のこの問題でも出題されています。近年毎年のように出題されているので, しっかりチェックしておきましょう。

選択肢1 誤り。これは普通に考えれば分かりそうですね。都市の発展過程においては, まず第一段階で都市部への人口が集中します。その後, 都市部の人口が過密になったり, 地下の上昇によってその周辺部 (郊外) の人口が増加します。これをドーナツ化現象といいます。その次の段階では, インナーシティ現象 (都市に中心機能が集中し, 結果として居住機能が低下, 低所得者が集まる)が起きます。選択肢は, 「都市部の人口が減少することはない」としているのであやまりだと思います。

選択肢2 誤り。これも考えれば分かりますねー。都市化によって人口量と人口密度が増大し, 社会的な異質性が高まると, 人々の社会関係や生活様式は変化するハズです。都市に独特な生活様式についてはワースのアーバニズムが有名ですね。こちらを参考にしてください。

選択肢3 正しい。これもまあ読めば分かりそうですね。都市化によって生活様式が変わっても, 元々ある関係性が途絶える訳ではありませんね。

選択肢4 誤り。これは地域福祉の観点からも間違っていますね。ちなみに住民が主体的に活動して行政等に働きかけを行うことをソーシャルアクションと言います。

選択肢5 誤り。公的サービスを整備することは行政の責任として行うべきことですが, 公的なサービスの狭間にある社会問題や公的なサービスで担うまでもないこと (例えば, ゴミ出しとか電球交換とか) など住民の互助はこれからも重要な位置を占めます。地域福祉の範囲ですが, ここらへんは「これからの地域福祉のあり方研究会」を読んでみるとよくわかるのではないでしょうか。

この問題はサービス問題だったと思います。今日はここまでー。

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