第25回-精神専門28

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日本精神保健福祉士協会倫理綱領の「4つの倫理原則」に関する次の記述のうち, 正しいものを2つ選びなさい。

1 「クライアントに対する責務」として, 「職務の遂行にあたり, クライエントの利益を最優先し, 自己の利益のためにその地位を利用してはならない」と定めている。

2 「クライアントに対する責務」として「クライアントの自己決定を尊重し, その自己実現に向けて援助する」と定めている。

3 「専門職としての責務」として, 「所属機関がクライアントの社会的復権を目指した理念・目的に沿って業務が遂行できるように努める」と定めている。

4 「機関に対する責務」として, 「他職種・他機関の専門性と価値を尊重し, 連携・協働する」と定めている。

5 「社会に対する責務」として, 「人々の多様な価値を尊重し, 福祉と平和のために, 社会的・政治的・文化的活動を通し社会に貢献する」と定めている。

設題は比較的難易度の低い問題だったかもしれません。倫理綱領についてはこちらの精神保健福祉士協会のページで原文が読めます。倫理綱領については, 例年1問は出題されていますので必ずチェックしておきましょう。

倫理綱領は, 4つの倫理原則と4つの倫理基準で構成されています。倫理原則においては, 行動の指針となるように, 1 クライアントに対する責務, 2 専門職に関する責務, 3 機関に関する責務, 4 社会に関する責務が明記されています。倫理基準はそれらの具体例のように捉えておけばいいかと思いますね。

設題は, それぞれの文言がどの倫理原則に対応しているかという問題ですね。

選択肢1 の説明は, 専門職としての責務の中の地位利用の禁止の責務に当たりますので誤りですね。倫理基準においても「精神保健福祉士は業務の遂行にあたりクライエントの利益を最優先し, 自己の個人的・宗教的・政治的利益のために自己の地位を利用してはならない。また, 専門職の立場を利用し, 不正, 搾取, ごまかしに参画してはならない。」と定められています。例えば自分の信仰する宗教などをクライアントに勧めたりするこのは専門職としてふさわしくないでしょう。

選択肢2 は正しいです。これは, クライアントに対する責務の中の自己決定の尊重にあたります。自己決定の尊重に当たっては, 信頼の置ける情報の提示や, 契約関係, 自己決定が困難な場合にどうすべきか, などが倫理基準に定められています。

選択肢3 の説明は, 機関に対する責務なので誤り。機関に対する責務では, 「所属機関等が, クライエントの人権を尊重し, 業務の改善や向上が必要な際には, 機関に対して適切・妥当な方法・手段によって, 提言できるように努め, 改善を図る。」が倫理基準に記載されています。

選択肢4 の説明は, 専門職としての責務の中の連携の責務に当たりますので誤り。連携の責務においては, 他職種や他機関との連携や, ソーシャルワーカー同士の点検・評価についても触れられています。

選択肢5は正しいです。精神保健福祉士は, 精神障害者だけを対象とするのではなく, 地域社会活動への参加を通じて, 国民全体の精神保健の向上に貢献することが求められています。

ちなみに, 過去には前文が出題された事がありますので, 一応ここに紹介しておきます。赤字の所は必須知識なのでしっかり覚えておきましょう。

われわれ精神保健福祉士は, 個人としての尊厳を尊び, 人と環境の関係を捉える視点を持ち, 共生社会の実現をめざし, 社会福祉学を基盤とする精神保健福祉士の価値・理論・実践をもって精神保健福祉の向上に努めるとともに, クライエントの社会的復権・権利擁護と福祉のための専門的・社会的活動を行う専門職としての資質の向上に努め, 誠実に倫理綱領に基づく責務を担う。

カテゴリー: 第25回精神専門科目, 精神保健福祉相談援助の基盤 パーマリンク

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