第26回–共通科目81

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問題 81 任意後見契約に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 任意後見契約は, 事理弁識能力喪失後の一定の事務を委託する契約書が当事者間で作成されていれば効力を有する。
2 任意後見契約では, 本人の事理弁識能力が不十分になれば, 家庭裁判所が職権で任意後見監督人を選任する。
3 任意後見人と本人との利益が相反する場合, 任意後見監督人があっても特別代理人を選任しなければならない。
4 任意後見人の配偶者は任意後見監督人になることができないが, 兄弟姉妹は任意後見監督人になることができる。
5 任意後見監督人の選任後, 任意後見人は, 正当な理由がある場合, 家庭裁判所の許可を得れば任意後見契約を解除できる。

これも成年後見人関係の問題です。ちょっと狭く深い範囲で法学の基礎知識が必要ですがなんとか解いておきたいところですね。

選択肢1 誤り。任意後見契約は個人の契約に基づいているものではありますが, 公証人役場において公正証書を登記している必要があいります。

選択肢2 誤り。問題80の職権と違うところは申請者が必要であるということです。つまり, 事理弁識能力が不十分になったとして当然に行われる訳ではなく, 本人, 配偶者, 4親等以内の親族, 任意後見受任者の請求によって任意後見監督人を選任すると考えればいいのではないでしょうか。

選択肢3 誤り。これは難しい。特別代理人は後見人と被後見人の利益が相反する場合 (例えば遺産相続) などに選任されるものです。

ただ任意後見人を自ら選任しておいて「任意後見監督人があっても」ということは, 本人の事理弁識能力が不十分な状態にあると考えてもいいと思います。この状態においては, 任意後見監督人が「本人の利益が相反する行為について本人を代表する」とされています。この場合は特別代理人は必要ありませんね。簡単に言うと, 「法定後見の場合は利益相反行為については特別代理人の選任が必要。任意後見の場合には任意後見監督人がその役割をする」という覚え方でいいと思われます。これは間違ってるかもしれないので誰か詳しい人教えてください。

選択肢4 誤り。任意後見監督人は, 任意後見人の行動を監督すべき立場なので, 任意後見人の配偶者, 直径血族及び兄弟姉妹はなることができません。荒っぽく言えば, 僕が認知症の父親の後見人になったとしたとして, 父親の財産 (実際うちには財産なんてありませんがw)をうまいことぶんどろうとするのをチェックするのが任意後見監督人です。このチェックする人が僕の妻や兄弟だとチェック機能が満たせませんよね。そのため第三者(弁護士,司法書士,社会福祉士,税理士等の専門職や法律,福祉に関わる法人など)が選ばれることが多くなっています

選択肢5 正答。ちょっと紛らわしい日本語ですね。

解除については期間の違いによって異なります。任意後見契約が締結して, 任意後見監督人が選任される前まで (つまり判断能力がある間) は両者の合意に基づいていつでも解除可能です。もちろん一方的な解除であっても法的な手続きに乗っ取って解除可能です。一方, 任意後見監督人が選任された後 (つまり判断能力が限定)された場合では, 「正当な理由がある限り」という文言が入ります。

今日もあと一問!!

 

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