第26回–共通科目80

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問題 80 成年後見制度に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者については, 家庭裁判所は, 職権で補助開始の審判をすることができる。
2 成年被後見人のなした日常生活に関する法律行為については, 成年後見人が取り消すことができる。
3 家庭裁判所は, 成年後見開始の審判をするときは, 職権で成年後見人を選任し, 保佐人及び補助人についても同様に職権で選任する。
4 成年後見人は, いつでも家庭裁判所に届け出ることによって, その任務を辞することができる。
5 家庭裁判所は, 破産者を成年後見人に選任することはできないが, 未成年者を成年後見人に選任することはできる。

成年後見人制度に関する問題。これは絶対に解いておきたい問題です!!

選択肢1 誤り。この問題もよく出題されます。補助開始の請求は本人, 配偶者, 四親等内の親族, 後見人, 後見監督人, 保佐人, 保佐監督人, 検察官が可能です (任意後見契約が登記されているときは,任意後見受任者,任意後見人及び任意後見監督人も)。裁判所の職権ではできません。補助開始の場合には「本人の同意がなければならない」というのが, 後見開始, 保佐開始 と異なる点ですね。

選択肢2 誤り。日常生活に関わる法律行為などは取り消すことはできません。これは基本事項なので注意が必要ですね。

選択肢3 正答。これは悩みますが, ここでいう職権とは, 「職務を行ううえで与えられている権限。公の機関や公務員などがその地位や資格に基づいて一定の行為をなしうる権限およびその範囲。」と考えていいと思います。申請の権利のある者からの申請があった場合には, 後見人となりうるものの状況を踏まえて裁判所が職権において選任します。

選択肢4 誤り。文章的には誤りっぽいとは思いますがこちらで確認しました。抜粋します。

「成年後見人(保佐人・補助人)は, 正当な事由(健康を害したなど)があるときは, 家庭裁判所の許可を得て, その任務を辞することができます。」ここでいう正当な事由とは,

ⅰ法定後見事務を遂行でき得ない遠隔地への住居の移転
ⅱ老齢, 疾病, 身体障害などにより, 法定後見事務に支障がある場合
ⅲ本人またはその親族との不和
ⅳ成年後見人等の職務が長期間になった場合
ⅴ成年被後見人(被保佐人, 被補助人)が多数いるなど, 負担過重の場合

「正当な事由」と言っても辞任せざるをえないような理由のほとんどは網羅されていますね。ただ, 選択肢は「いつでも申し出ることによって」とありますのでちょっと言い過ぎではないでしょうか。

選択肢5 誤り。後見人の欠格事由は以下の5つです。これは覚えておきましょう。

(1) 未成年者
(2) 成年後見人等を解任された人
(3) 破産者で復権していない人
(4) 本人に対して訴訟をしたことがある人,その配偶者又は親子
(5) 行方不明である人

今日はここまでー。

 

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