第27回–共通科目75

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問題75 日本における医療ソーシャルワーカーの職能としての発展に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 第二次世界大戦前に, 聖路加国際病院の前身病院の医療社会事業部に医療ソーシャルワーカーとして清水利子が採用された。
2 第二次世界大戦後に, 連合国軍最高司令官総司令部 (GHQ) 主導の下, モデル保健所として初めて専任の「医療社会事業係」が配置されたのは板橋保健所である。
3 1953年 (昭和28年) に, 日本医療社会事業家協会が設立されたことにより, 日本における全国的な医療ソーシャルワーカーの職能団体が立ち上がった。
4 医療機関が社会福祉士養成課程における実習施設等の範囲に含められたのは, 社会福祉士及び介護福祉士法が成立した時からである。
5 診療報酬改定により, 初めて社会福祉士が診療報酬点数上に位置づけられるようになったのは1992年 (平成4年) からである。

ソーシャルワーカーに関する問題ですねー。ちょっと難易度高めだったかもしれません。

選択肢1 誤り。この選択肢は浅賀ふさの説明です。清水利子は, 1926年に済生会芝病院社会部に配属されたMSWとして働き始めました。ただ残念ながら病気で早逝してしまったため, 日本最初のMSWとしては1929年の浅賀ふさであるというのが通説になっているみたいですねえ。

選択肢2 誤り。板橋保健所ではなく杉並保健所??ちなみに出淵みやこという方みたいですね。これ作った人に是非聞きたいんですが, 板橋か杉並かってのにどんな意味があるんでしょう。なにか面白いエピソードでもあるのかなあ。ちょっと嫌みにgooglemap で調べてみました。杉並保健所と板橋保健所の間は車で23分の距離です。もし知っている人がいたら是非教えてください。

選択肢3 正答。現在の日本医療社会福祉協会は, 保健医療分野で働くソーシャルワーカー(医療ソーシャルワーカー)や医療社会事業の普及・発展を支援する人々によって構成されている団体です。選択肢4 誤り。元々「福祉士」とあるように, 社会福祉士は福祉分野に特化した資格として誕生しました。元々の厚生省構想では, 福祉分野をカバーする社会福祉士と医療分野をカバーする医療ソーシャルワーカーの制度化があった様子です。いろいろと政治的な課題もあって医療ソーシャルワーカーは国家資格化されず, 社会福祉士資格所持者が医療機関でMSWとして働いているという経緯の中で, 実習先に医療機関が追加されたという理解でいいのはないでしょうか。

選択肢5 誤り。平成20年度 (2008)の診療報酬の改定により, 「退院調整加算」と「後期高齢者退院調整加算」が新設されました。これは, 医療保険上で, 医療ソーシャルワーカーの業務の一部が, 重要なもの, 価値あるものとして認められたということも意味しているのではないでしょうか。

今日はここまでー。

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