第28回-共通科目8

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問題8 次の記述のうち, 達成動機の高い人に関するものとして, 適切なものを1つ選びなさい。
1 自分が取り組んだ課題に失敗すると, その原因を運などの外的要因のせいにする。
2 高い目標を設定し困難な課題に果敢に挑戦しようとする。
3 自分が下した決定に対する責任を重視しない。
4 一緒に働く同僚として, 有能な人よりも親しみのもてる人を選ぶ。
5 自分が挙げた成果については気にしない。

さて心理学か。この科目は僕の専門なんだけど, 毎年結構苦労するんだよなあ。
達成動機とは, 「困難を乗り越えて少しでも高い成果をあげたい, より高い目標に一歩でも近づきたいという動機」のことです。周囲にいる達成動機の高い人と低い人を想像しながら考えれば選択肢は狭めることができます。元々はマレーが考えた概念です。
理論モデルとしては, マクレランドの達成動機の社会モデルワイナーの原因帰属, アトキンソンモデルなどが有名なのでチェックしておきましょう。

選択肢1 誤り。ワイナーの原因帰属の考え方では, 達成動機の高い人は成功を自己の能力や努力に帰属させ, 失敗は自己の努力不足に帰属させる傾向にあります。つまり, なにか失敗した時には, 自分の努力が足りなかったというように内的要因に帰属するので, 次に新たに努力をするというパターンが達成動機の高い人の特徴ですね。逆に達成動機の低い人は, 「運が悪かった」とか「教え方が悪かった」というように外的要因に帰属してしまうので動機が長続きしないと考えることができます。

選択肢2 正答。達成動機が高い人は, 自分の努力で結果が変えられると思う傾向にあるので, 自然と高い目標を設定し困難な課題に果敢に挑戦しようとすると考えられます。でも微妙だなあ。アソキンソンのモデルでは, 高い目標ではなく「中等度」の目標となっているので。でも他の選択肢を見る限りこれが回答で間違いないと思います。

選択肢3 誤り。達成動機が高い人が失敗した場合には, 自らの内的要因に帰属するので, もちろん自分の決定に関する責任を重視します。例えば, 試験に落ちた時も「あと一ヶ月早く始めていれば絶対に受かった。来年こそは早めにがんばる」みたいな考え方になるわけです。

選択肢4 誤り。これについてはいろいろと報告されていますが, あまりメジャーなモデルは知らないなあ。まあ普通に考えれば, 経済的成功や課題遂行を願うのであればどちらかというと親和的な同僚よりも優秀な同僚を選びそうですね。

選択肢5 誤り。達成動機が高い人は, もちろん自分の成果を気にします。

さて, 次の問題へ!

 

カテゴリー: 第28回共通科目, 心理学理論と心理的支援 パーマリンク