第28回-共通科目9

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問題9 次の記述のうち, 学習の形成における洞察学習の例として, 正しいものを1つ選びなさい。
1 膨化し首をのぞかせたハイイロガンは, 最初に凝視したものを親だと思い込み, 凝視したものの後追い行動を始めた。
2 檻に入れられたネズミが, 檻の中にあるレバーを押すと餌が出ることを知った後, ネズミはレバー押し行動を増加させた。
3 大人が人形を攻撃した後にほうびをもらう場面の映像を幼児に見せると, 人形などのおもちゃのある部屋にいる, その幼児の行動は, より攻撃的になった。
4 狭い箱に入れられた猫は脱出しようとしていろいろ試みたが, 紐を引っ張ると出口が開くことを覚えた後は, 箱に入れられるとすぐに紐を引っ張った。
5 檻の中で天井に吊るされたバナナを取りたいチンパンジーは, すぐさま箱をバナナの下に引き寄せ, その上に登って, 手にした棒でバナナをたたき落とした。

洞察学習に関する問題ですが, 選択肢を見ると学習理論に関する基本的な問題だと思います。この問題も参考にして解いておきたいですね。

選択肢1 誤り。これはこの問題と同じ内容です。ローレンツインプリンティングの説明です。ここ数年は過去問からの繰り返しの出題が目立ちますね。ハイイロガンのヒナは, 孵化直後の臨界期に出会った運動体に対して, 後追い行動をします。これは, 洞察学習ではなく, 臨界期の説明です。臨界期は, 一生のうちで一度しかありません。脳はインプットが少ない神経回路は脱落し, インプットされる情報が多いほど回路が強化される仕組みをもっているため, 「臨界期」までに一度も使われなかった脳細胞は一生必要ないと判断され, 臨界期を越えた時点から消滅していく運命にあると言われています。

選択肢2 誤り。これはオペラント条件づけの説明ですね。自分コピペですが, オペラント条件づけは, 「行動の直後に好子(あるいは嫌子)を提示することによって, 行動の生起頻度が変わる」ことをいいます。これはスキナーの鳩の実験で有名です。スイッチのついた鳥かごを用意して, 鳥が偶然スイッチに触れた時にえさを与えると, 鳩は「なんやこのスイッチ押したら餌でるやん!!」ってなってしょっちゅうスイッチを触る様になるという感じですかね。

選択肢3 誤り。これは観察学習の説明です。観察学習は, モデルの行動を観察して, その行動を学習してしまうことを言います。これはバンデューラが, 社会的学習理論を提唱する上で中心においた学習で, モデリングともいわれます。似たようなもので, ミラーとダラードの模倣学習も覚えておく必要があります。両者の違いは報酬があるかないかという点なので注意しておきましょう。

選択肢4 誤り。これは試行錯誤学習の説明です。試行錯誤学習は, オペラント条件づけの元になった考え方で, ソーンダイクが発表したものです。これは試行の繰り返しによって上手くいったものを学習していく理論ですね。

選択肢5 正答。ケーラーは, チンパンジーを用いた実験で, 自分の置かれている状況や, 利用できそうな道具などを踏まえて, 「こうすればこうなるんじゃないか」と先を見通して行動すること洞察学習と名づけました。

うむ結構調子いいなー。さて今日もあと一問。

カテゴリー: 第28回共通科目, 心理学理論と心理的支援 パーマリンク