第28回-共通科目16

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問題16 消費社会に関する代表的な社会理論についての次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 ロストウ (Rostow, W. W.) によれば, 社会の関心は, 供給から需要生産から消費へと移っていく。
2 ガルブレイス (Galbraith, J. K.) によれば, 生産よりも消費が経済成長の原動力となるので, 生産部門が消費部門に依存する依存効果がみられるようになる。
3 リースマン (Riesman, D.) によれば, 内部指向型の社会的性格に基づいて, スタンダードパッケージとしての個性的な商品が多品種少量生産されるようになる。
4 ヴェブレン (Veblen.T.) によれば, 多くの人々が同じ商品を購入するようになるので, 見せびらかしの消費としての誇示的消費の意義は失われる。
5 ボードリヤール (Baudrillard, J.) によれば, モノの記号的意味の消費から, 生理的・機能的欲求に基づくモノの実質的機能の消費へと移っていく。

おおこれは難しい。目をつぶってサイコロを転がした人も多そうです。こういう問題はどれだけ選択肢を潰せるかが勝負ですが, ちょっとノーチャンスだったかもしれません。

選択肢1 正答。ロストウは生産力の発展に注目して, 伝統的社会, 離陸の準備段階, 離陸期, 成熟への前進期, 大量消費社会という5段階を区別する経済発展段階説を唱えた人です。彼の考えでは, 経済が発展するにつれ, 生産から消費社会に移っていくと考えています。

選択肢2 誤り。こちらのページを参考にしました。ガルブレイスは「豊かな社会」という名著を記した経済学の巨人です。彼は「需要が生産に依存している」ことを示しています。難しいのですが, 大衆に消費をしてもらわないと経済が成立しないので, 生産者が積極的に, 宣伝や販売術によって欲望をつくり出そうとしていると考えれば良いのではないでしょうか。

選択肢3 誤り。こちらのページを参考しました。リースマンは「孤独な群集」において第二次大戦後のアメリカ中産階級の社会的性格の変化を, 幼児期に内化された目標に向かって進む「内部志向型」から, 同輩集団やメディアに絶えず敏感に反応していく「他人志向型」への移行としてとらえ, 鋭い社会分析を行った人です。スタンダードパッケージとは, 他人指向型社会における消費の基本的パターンを構成する標準化された商品群のことを示します。

選択肢4 誤り。ブランド消費に代表されるように, 商品の価格が高く, それを手に入れること自体に特別な消費意識・欲求が生まれることをヴェブレン効果と言います。選択肢は真逆のことを言っていますね。

選択肢5 誤り。ボードリヤールは, 「消費社会の神話と構造」の中で, 商品は, その使用価値だけで用いられるのではなく, 社会的権威や幸福感といった他人との差異を示す「記号」として現われることを示しています。これも選択肢は真逆のことを言っているのではないかと思います。

難しかったー。この科目は時間かかるなあ。今日はここまでー。

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