第28回-社会専門111

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問題111 事例を読んで, この場合に適したケースマネジメントのモデルとして, 最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
高校生のときに統合失調症を発症したHさんは, 10年以上の入院生活が続いており, 退院して地域で生活することを望んでいる。両親はすでに他界し兄弟は遠隔地在住で, Hさんの退院後の生活を支援してくれる人はいない。Hさんの症状は不安定で, 日常的に服薬管理などの医療サービスや生活全般の見守り・助言リハビリテーション, 就労支援など, 様々な支援が必要である。
1 ストレングスモデル
2 リハビリテーションモデル
3 臨床型モデル
4 仲介型モデル
5 ACT (包括型地域生活支援プログラム) モデル

これは精神の方ではよく出題される問題ですが, 社会福祉士の方では初めてかなあ。

選択肢1 誤り。ストレングスは元々クライアント本人が持っている力に着目し, エンパワメントを高めていくアプローチで, ケースマネジメントという点では, どのアプローチでもこの視点が必要です。もちろん, 事例のケースでももちろんストレングスの視点は重要ですが, それだけでは, 本人の地域生活はちょっと難しそうです。

選択肢2 誤り。リハビリテーションモデルは, ソーシャルスキルなどのトレーニングを重視して, 本人のリカバリーを重視するモデルですね。これももちろん必要な視点ですが, Hさんが地域生活するためにはもう少し積極的な支援が必要になりそう。

選択肢3誤り。 臨床型は,  利用者に対する直接的支援を行うことで, クライアントの治療効果を重視するモデルですね。事例を読む限りこれも必要な視点ですが, 「地域生活を望む」本人のニーズにはこのモデルでは答えられないです。

選択肢4 誤り。仲介型 (ブローカモデル) は, 利用者とサービスを結びつけることを中心とし, サービスの斡旋・調整を主な機能としています。これも必要な視点ですが, 事例の「症状が不安定」などの文言を見ると, もう少し積極的な支援が必要になります。

選択肢5 正答。包括型地域生活支援プログラムは, Assertive Community Treatment (ACT) と呼ばれ, 重い精神障害を抱えた人が住む慣れた場所で安心して暮らしていけるように, 様々な職種の専門家から構成されるチームが支援を提供するプログラムです。事例にフィットしたプログラムだと思います。

さてあと一問!

 

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