第28回-社会専門121

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問題121 動機づけに関する理論についての次の記述のうち.正しいものを1つ選びなさい。
1 マクレガー(McGregor, D.) のY理論では,従業員の働く意欲が低いのは,組織の管理者側に原因があるとされる。
2 ハーズバーグ(Herzberg,F.) の動機づけ理論では,労働条件への不満を改善することで,職務に対する満足感を高められるとされる。
3 マクレランド(McClelland, D.) の欲求理論では,権力欲求を持つ人に対しては適度なリスクのある仕事を与えることが,高い業績につながるとされる。
4 ブルーム (Vroom, V.) の期待理論では,管理者が従業員に対して大きな期待をしていることを示すことが,従業員の動機づけを高めるとされる。
5 ロック (Lock, E.) の目標設定理論では,「頑張れ」や「前よりも上回る成績を」といった情動的刺激を与えることで,高い意欲を生み出すとされる。

おお産業心理学。。。結構有名ドコロですが, ちょっと厳しいかも。選択肢をしっかり読めばわかったかな。。

選択肢1 正答。マクレガーのXY理論では, 個人の欲求を,組織における目標の達成および管理行動に関連づけて検討しています。X理論では, 人は働くことが嫌いで避けようとするため, 強制や罰によって生産性を高める必要ありますが, Y理論の見地では, 人は目的が重要であると考えると自ら進んで行動すると考えるため, 従業員のモチベーションが低いのは, 組織の管理者側に原因があると考えることができます。

選択肢2 誤り。ハーズバーグの二要因理論(動機づけ-衛生理論)では, 職務満足を動機づけ要因衛生要因に分類しています。前者は, 承認,責任, 昇進などがその例で, 後者の例は, 給与や対人関係などがそれに当たります。労働条件は衛生要因ですが, これは不十分であれば不満足だが, 充たされてもそれだけで職務満足を高めることはありません。例えば給料めっちゃ良くても, 非常にやりがいのない仕事で職務満足は高まりませんよね。一方, 責任ややりがいなどの動機づけ要因が高くても最低限の給与などが保障されていなければ職務満足が高まりません。このように職務満足はプラスマイナスの単純な関係ではないことがこの理論の面白いところです。

選択肢3 誤り。マクレランドは, 職場における仕事での欲求を中心に検討した欲求理論で有名です。達成欲求, 権力欲求, 親和欲求, 回避欲求に分類し, それぞれの特徴を記述しました。達成動機が高い人は, 自分の手でやることを望み, 中程度のリスクを好みます。これが選択肢の説明ですね。権力欲求の高い人は, 競争が激しく, 地位や身分を重視する状況を好みます。また, 親和欲求が高い人は, 他者からよく見てもらいたい, 好かれたいという願望が強く, 回避欲求が高い人は, 失敗や困難な状況を回避しようという傾向が強いといえます。

選択肢4 誤り。期待理論では人は, 3つの要因 (期待, 誘意性, 手段性)の積でモチベーションの大きさが決まるとされます。ここでいう期待は他者からの期待というよりも, 自分の努力が仕事の成果に結びつく期待を意味しています。

選択肢5 誤り。ロックの目標設定理論では, 困難で明確な目標は人を動機づけるとします。目標は明確であることが必要なため, 「頑張れ」などの客観的でない声掛けはあまり重視されません。

さて長かった。今日はここまでー。

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