第28回-社会専門122

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問題122 新設の介護老人福祉施設では, 多くの介護職員 (以下, 「職員」という。) が新人であった。開設当初, 職員たちは知識や技術がまだ不十分で, 自信もなかった。この段階では, リーダーのFさんは, 仕事で何をすべきか明確に伝えて細かく指示を出すようにした。
職員たちの意欲は高まったが, 知識や技術を状況に合わせて使うには不安のある段階では, Fさんは, なぜある行動が望ましいかといった理由を職員たちに説明し話し合ったか積極的に質問するように促した。
さらに, 職員たちが十分な知識・技術を身につけ, 自信も持てるようになった段階になると, Fさんは職員自身が仕事の進め方について考え, 決めるよう促した。このように, 部下の成熟度に合わせたリーダーシップ行動の変容に関する理論として, 次のうちから最も適切なものを1つ選びなさい。

1 リーダーシップの行動理論
2 状況リーダーシップ (ハーシー (Hersey. P.) とブランチャード (Blanchard. K.) による)
3 PM理論 (三隅二不二による)
4 変革型リーダーシップ
5 カリスマ的リーダーシップ

うーん。ちょっと迷うなあ。この問題は難しかったですが, 選択肢は頻出課題なのでしっかり覚えておきたいですね。

選択肢1 誤り。行動理論というか行動アプローチといった方がいいかもしれません。当初のリーダーシップ研究は, 「優れたリーダーは,どのような特性を備えているのか」というリーダーの特性に対するアプローチが盛んでしたが, 行動アプローチでは, 「優れたリーダーはどのような行動をとっているか」に着目しています。代表的な理論としては, ホワイト&リピットのリーダーシップスタイル, 三隅のPM理論, マネギリアルグリット理論などが有名ですね。これは事例からは少し遠そうです。

選択肢2 正答。ハーシーとブランチャードは, メンバーの成熟度を4段階に区分し, それぞれの段階に効果的なリーダーシップ・スタイルを,指示的次元の高低と協労的次元の高低の2次元の組み合わせによって表現するライフサイクル理論を提唱しました。この理論は, 状況即応アプローチに位置づけられます。集団の状況に応じたリーダシップスタイルなので, 事例に合致していると思います。

選択肢3 誤り。三隅のPM理論では, 課題達成のP機能, 集団維持M機能を文字の大小で4領域に分類しました。この中でも, PM型をP機能とM機能が互いに補完し,強化しあって,相乗効果を生むとし理想的なリーダシップであるとしています。逆に最も悪いのがpm型になります。これはよく出題されますが, 少し事例からは遠いですねえ。

選択肢4 誤り。変革型リーダーシップは, 「メンバーに外的環境への注意を促し,思考の新しい視点を与え,変化の必要性を実感させ,明確な将来の目標とビジョンを提示し,自らすすんでリスク・テイクし,変革行動を実践するリーダー行動」(山口,1994)です。事例ではその段階まではたどりついていないと思います。

選択肢5 誤り。バスは変革型リーダーシップの要因として, カリスマ性, 士気の鼓舞, 知的刺激, 個別配慮などをあげています。この中でもカリスマ性 (charismatic Ieadership)とは,   メンバーから尊敬, 信頼されており,卓越した能力と不屈の忍耐力と断固たる決断力をもっているとしています。事例とは遠いですねえ。

さて, 今日もあと一問ー!

カテゴリー: 第28回社会専門科目, 福祉サービスの組織と経営 パーマリンク