第26回-社会専門90

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問題90 質的調査データの整理と分析に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 インタビュー記録やフィールドノーツを1行ずつ読み込みながら, 思いつくままにコードを書き込んでいくことをプリコーディングという。
2 研究がある程度進展した段階で, 比較的少数の概念的カテゴリーにコードを割り振っていくことをオープンコーディングという。
3 インタビュー等において対象者が使っている言葉をそのままコードとして用いることをインビボコーディングという。
4 グラウンデッド セオリーアプローチにおいてデータの分析を行う際には, 事前に設定した仮説や既存の理諭に沿って進めることが重要である。
5 量的調査データの分析とは異なり, 質的調査データにはコンピューターを使った分析はなじまない。

さて, 26回最後の問題。これはかなり難しいです。こういう問題はあまりなじみがないので結構キッツイ。

こちらのページが参考になりますが, このページを読んでもきつい。
グランデットセオリーは, 社会的現象においてデータの収集と分析を通じてデータに根ざした理論の生成を目指もので, 質的調査の一つです。非常にざっくり言うと, テキスト (言葉) をコードに嵌めこんで, そのコードを分析して, それを理論に落としこむという方法です。

選択肢1 誤り。選択肢は, アフターコーディングの説明です。このコーディングでは得られた記録を分類し, 似た内容のものにコードをづけて分析します。

選択肢2 誤り。トラウスらは,オープン・コーディング,軸足コーディング,選択的コーディングの3種類のコーディングを提案しています。オープンコーディングは, 分析の初期に行うもので, カテゴリー,特性,次元を生成するざっくりしたコーディングです。その後, 研究がある程度進展した段階で, 比較的少数の概念的カテゴリーにコードを割り振っていくことを軸足コーディングといいます。最後の段階で仮説および理論を生成し精緻化することを選択的コーディングと言います。

選択肢3 正答。独特の文化を持つ人々にアプローチをする際にインビボコーディングが効果的な場合もあります。例えば, リストカットのことを「リスカ」という風習そのものがある意味で貴重な情報になるからです。

選択肢4 誤り。グラウンデッド セオリーアプローチは既存の仮説検討型の分析ではなく, 得られたデータを元に理論を作成することを目的としています。特に質的分析は, その分析の際に調査者の意図が混じりやすいという側面をもるので, そういう意味では仮説を持っている時点であまりそぐわない方法かもしれません。

選択肢5 誤り。言葉をPCに入力し, テキストマイニングなどの手法で分析を行います。

はい。やっと2年目終了。やっぱ4年分長いなあ。今日はここまでー。

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