第26回-社会専門99

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問題99 相談援助のアプローチに関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 バンデューラ (Bandura, A.) は, 行動変容アプローチに取り入れられた社会的学習理論を提唱した。
2 ピンカス (Pincus, A.) とミナハン (Minahan, A.) は, 一般システム理論に基づいてユニタリーアプローチを提唱した。
3 ロビンソン (Robinson, V.) は, 地域精神医学研究などの成果を取り入れた危機介入アプローチを提唱した。
4 バーグ (Berg, I.) は, 社会構成主義を基盤としたナラティプアプローチの発展に寄与した。
5 スモーリー (Smalley, R.) は, 生態学に基づく機能的アプローチを体系化した。

これ難しいなあ。基本的には, 人物問題ですけど。

選択肢1 正答。バンデューラは, モデルの行動を観察して, その行動を学習する学習を中心に, 社会的学習理論を提唱しました。行動変容アプローチは, 学習理論に依拠した実践モデルなので, 正答といえば正答かなあ。。行動変容アプローチは, トーマスが提唱したアプローチで, 利用者の問題行動の原因や動機にさかのぼることをせず, 問題行動そのものを取り上げて, 特定の問題行動の変容を目標に働きかける技法です。

選択肢2 誤り。ピンカスとミナハンは, ベルタランフィの一般システム理論の影響を受け, 社会福祉的システムの相互作用を4つのシステムモデル (クライアントシステム, ワーカーシステム, ターゲットシステム, アクションシステム) によって理論的に説明しようとしました。ユニタリーアプローチは, ゴールドスタインが提唱したアプローチで, 人間が環境に働きかける過程や能力に着目してます。

選択肢3 誤り。ロビンソンは「ケースワーク心理学の変遷」の著者として有名です。タフトとともに機能主義アプローチの代表格ですね。ちなみに機能主義におけるケースワークは,クライエントの問題解決を援助するのではなく,クライエントの成長しようとする自由な意思を邪魔する障害を取り除くことに着目しています。危機介入アプローチは, ラポポートが提唱したアプローチで, 危機状態にある対象者(個人, 集団, 組織, 地域など)に対して,その状態からできるだけ早く脱出することを援助することを目的としています。

選択肢4 誤り。対象者の経験や自分史を利用してエンパワメント援助支援を行うナラティブ・アプローチは, ホワイト, エプスタインがその提唱者です。バーグは, シェイザーとともに提唱した解決志向アプローチですね。このアプローチは, 社会構成主義等の影響も受け, 直接的因果論や客観的事実を否定した, 現在・未来志向の短期アプローチですね。

選択肢5 誤り。生態学といえばエコロジカル・アプローチジャーメイン, ギッターマンですね。エコロジカル・生活モデルにおいては, 援助者はエンパワメントを援助の中心概念とし, 問題の発生している人と生活環境の接点(インターフェイス)を明確にし, 生活ストレスを生み出しているストレッサーを解明(アセスメント)するものとしています。スモーリーは, 機能主義アプローチを精緻化した人物として有名です。

さて今日もあと一問!

カテゴリー: 第26回社会専門科目, 相談援助の理論と方法 パーマリンク