第26回-社会専門150

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問題150 保護観察官の業務として行う「専門的処遇プログラム」に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 専門的処遇プログラムは, 心理療法の一つである認知行動療法が基になっており, 自発的意思に欠ける対象者には適用とならない。
2 専門的処遇プログラムを受けるのは仮釈放者ではなく, 保護観察付執行猶予者である。
3 専門的処遇プログラムの一つである覚せい剤事犯者処遇プログラムは, 簡易薬物検出検査と組み合わせて, 断薬の意思を強化しながら実施する。
4 専門的処遇プログラムの一つである性犯罪者処遇プログラムは, 逸脱した性的欲求を低下させることに焦点を当てて実施する。
5 就労が優先すると認める場合には, 保護観察官の判断により, 専門的処遇プログラムの実施を取りやめることができる。

さて, 2年目最後の問題です。こういう問題も出るんですねー。ちょっと難しい問題だったと思います。
専門的処遇プログラムは, ある種の犯罪的傾向を有する保護観察対象者に対しては,指導監督の一環として,その傾向を改善するために,心理学等の専門的知識に基づき,認知行動療法(自己の思考(認知)のゆがみを認識させて行動パターンの変容を促す心理療法)を理論的基盤として開発された,体系化された手順による処遇」をいいます。
専門的処遇プログラムには,性犯罪者処遇プログラム,覚せい剤事犯者処遇プログラム,暴力防止プログラム及び飲酒運転防止プログラムの4種があり,その処遇を受けることを特別遵守事項として義務づけて実施しています。また, それ以外にも,保護観察対象者の自発的意思に基づいて,専門的処遇プログラムが実施されることがある。

選択肢1 誤り。 専門的処遇プログラムは, 指導監督の一環として行われるものなので, 処遇を受けることを特別遵守事項として義務づけて実施しています。そのため, 自発的意志に欠ける対象者も適用になると思います。

選択肢2 誤り。仮釈放者も, 保護観察付執行猶予者も対象となります。出題者の意図がわかりにくいですねえ。

選択肢3 正答。覚せい剤事犯者処遇プログラムは, 簡易薬物検出検査と組み合わせて実施されることで, その再犯防止効果が上昇します。

選択肢4 誤り。性犯罪者処遇プログラムは, (1)性犯罪のプロセス(2)認知のゆがみ(3)自己管理と対人関係スキル(4)被害者への共感(5)再発防止計画-の5段階の課程で構成されています。特に認知のゆがみによって性犯罪に結びつくプロセスに着目することで, 再発の防止を目指します。

選択肢5 誤り。これは難しいですねえ。 専門的処遇プログラムは, 保護観察所長又は地方厚生保護委員会の決定が必要です。選択肢のように保護観察官の判断は取りやめることができません。

さて、今日はここまでーー。あと2日でおしまいーーー!!

 

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