第25回-精神専門14

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「精神障害の労災認定基準」に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。

1 対象となる疾病には, ICD-10 (国際疾病分類第10版) 第5章に分類する全てが含まれる。

2 発病前の1ヶ月の業務による強い心的負荷に基づいて, 業務上の疾病に該当するかどうかを判断する。

3 認定要件における基本的な考え方は「ストレスー脆弱性理論」に基づいている。

4 セクシャルハラスメントの被害を受けてからすぐに相談行動をとらない場合は, 心理的負荷が弱いとみなされる。

5 自殺による死亡は労災の対象から除外される。

これも大事な分野なので今後も出題されると思います。丁寧にチェックして関連する分野についても覚えておく必要がある範囲ですね。解答は3です。

選択肢1 ICD-10 (国際疾病分類第10版) 第5章について見た事があれば誤答であることが導かれますが, 全部覚えている人はほとんどいないはず。現場で働いている人は手帳の診断書等の関係で見た事があるかもしれません。

5章は“精神及び行動の障害の分類”を全て含むので認知症, 発達障害, アルコール依存症などもあります。これらは労災認定の基準にはなり得ませんね。具体的には, F3の感情障害や, F4の神経症性障害などが労災認定の基準となっています。近年精神疾患を理由とした労災申請件数は増加傾向にあります。どのような問題でも“全て”と書いてあるのは疑ってかかるべきですね。

選択肢2 これも早い段階で選択肢から外せたと思います。1ヵ月というのはあまりにも短いですね。労災の基準では, 発病前概ね6ヶ月の間に起きた業務による出来事について業務による心理的負荷評価表を用いて判断することになっています。ちなみに基準では心理的負荷を強, 中, 弱に分けてその時間的経過などについても詳細に決められています。是非一度厚生労働省のページを読んでみることをおすすめします。

選択肢3 この問題は悩みました。実際に現物を確認しましたがストレスー脆弱性理論という言葉は見つけることはできませんでした。しかし, 認定基準の中の文言に, “精神障害は, 外部からのストレス(仕事によるストレスや私生活でのストレス)とそのストレスへの個人の対応力の強さとの関係で発病に至ると考え精神障害の発病についての考え方られています”という言葉からもこれは正答と考えられます。

選択肢4  これははやい段階で削除できますね。すぐに言えなくて心理的負荷が次第に高まる事も考えられます。いじめやセクシュアルハラスメントのように, 出来事が繰り返されるものについては, 発病の6か月よりも前にそれが始まり発病まで継続していたときはそれが始まった時点からの心理的負荷を評価することになっています。

選択肢5  業務による心理的負荷によって精神障害を発病した人が自殺を図った場合は, 精神障害によって, 正常な認識や行為選択能力, 自殺行為を思いとどまる精神的な抑制力が著しく阻害されている状態に陥ったもの(故意の欠如)と推定され, 原則としてその死亡は労災認定されます。

ちょっと迷わせる文面でしたが, しっかりと読むと消去法でも選択肢3が導かれたのではないかと思います。ちょっと足早に作成したので誤字が怖いなあ。。

なにか間違っているところを見つけたらコメントください。

 


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