第25回-精神専門15

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1998 (平成10) 年以降の我が国の自殺及び自殺対策に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。

1 年齢階級別の自殺死亡率は, 50歳代以上では増加傾向にある。

2 全体的予防介入, 選択的予防介入, 個別的予防介入という対象ごとの対策を効果的に組み合わせることが推奨されている。

3 都道府県・政令指定都市のうち, 自殺対策に取り組んでいるのは半数程度に留まっている。

4 自殺総合対策大綱による自殺対策の数値目標は, 自殺志望者の実数が3万人より少なくなることを記載している。

5 自殺対策基本法に示された自殺対策の基本理念は, 介入や事後対応ではなく事前予防である。

自殺に関する問題は, 毎年のように出題されています。様々な施策も相まってH24には3万人を切りましたが, 先進諸国の中でも高い水準にあり(韓国が最も高い水準)あります。自殺統計に関して考える時には, 自殺者数と自殺率の違いについて注意しておかないとケアレスミスをするので注意しておく必要がありますね。

選択肢1  世代別に見た自殺者数は60代以上が最も多く, 健康問題がその理由の一番にあります。50代については一時期急増しましたが, 現在は減少傾向にあります。ただ, 自殺という意味で考えると今でも全世代で最も高い水準にあることは注意が必要です。

選択肢2 これが正答ですね。自殺予防総合対策センターの提言の中にもこのような文面が記載されています。要約すると,

a)全体的予防介入 自殺リスクの有無にかかわらず, すべての人を対象とした介入

b) 選択的予防介入  特定の自殺リスクを有する小集団を対象にした介入

c) 個別的予防介入  調査によってリスクが高いとされた人を対象にした介入

となります。これはそれぞれ覚えておく必要があります。

選択肢3 は明らかに誤っていますね。現在都道府県と政令指定都市のほとんどは自殺対策のための委員会等を設置しています。自殺対策にも地域に応じたきめ細やかなサポートが必要になると言えるでしょう。

選択肢4  これについては微妙な感じです。自殺総合対策大綱では, 平成28年までに, 平成17年の自殺死亡率を20%以上減少させることを目標とすると明記してあります。これを計算するとどうなのかなあ。。。まあ, 前述したように数とパーセントの問題がこんがらがっているような気もしますので, 問題としては少し分かりにくいですが出題者の意図としては不適切ということだと思われます。※ここちょっと自信ありません。

選択肢5 これは明らかに怪しい文章ですね。もちろん事前対応や予防が大事なのですが, 遺族や友人, マスメディアの報道など事後対応も自殺対策の大きな柱の1つと言えるでしょう。

今日はとても寒いですねー春はまだかなあー。

 

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