精神保健福祉に関連した調査や統計とその内容に関する次の組み合わせのうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 国民生活基礎調査—–––精神疾患により医療を受けている患者数
2 人口動態統計—–––原因・動機別の自殺者数
3 患者調査—–––精神病床を退院した患者の平均在院日数
4 医療施設調査—–––悩みやストレスを感じている人の割合
5 全国家庭動向調査—–––精神疾患による通院患者数
この問題はいわゆるテレコ問題ではないので, ある程度の知識量が必要となりますね。選択肢順に解説していきましょう。
選択肢1 国民生活基礎調査とは, 厚生労働省が毎年実施しているもので, 政策の基礎資料とするため, 世帯ごとの平均所得や人員構成などの調査を行っています。また, 3年ごとに保健, 医療, 福祉, 介護などについての調査もやっていることにも注意が必要ですね。
精神疾患により医療を受けている患者数は選択肢3の患者調査の中に含まれています。
選択肢2 人口動態統計とは, 出生数,死亡数,婚姻数,離婚数,など一定期間に起こる人口の変化に影響する事柄の指標を指します。もちろん, 死亡の中には自殺も含まれますが, 原因・動機別の自殺者数が詳細に記されているのは, 警察庁の自殺統計です。この問題はかなり難問ですね。
選択肢3 この選択肢は正しいです。患者調査は, 精神科に限ったものではないことに注意が必要です。精神科病院の平均在院日数は, 平成元年時点で496日だったのですが, 平成23年に298日とついに300日を切りました。300日を切ったのは非常に大きな出来事なので, かなりの確率で来年出題されそうな気がします。しかし全病床が32日であることを考えると依然として長い平均在院日数ですね。この300という数字を聞くと, 精神科病院で現場で働いている人の多くは, 「思ったより短い」という感覚を持つと思います。これは, 日本における平均在院日数の計算方式が諸外国と異なっていることが原因です。
日本の平均在院日数の計算法は, 簡単に言うとその年に退院した人の平均在院日数となります。例えば, 精神科病院に40年入院して, 特別養護老人ホームなどに入所した人は, 40×356で在院日数14240日になりますが, 症状が一時的に悪化して1週間で退院した人は7日間となります。ということは, 現在入院している人は今の所この指標の対象になっていないと言えるますね。
精神科入院については入院期間の長いグループと入院期間の短いグループの二極分化が進んでいます。そういう意味では平均在院日数を1つの指標とすることには無理があるのかもしれません。かなり蛇足でした。入院期間の分布などはよく出題されていますので留意して置きましょう。
選択肢4 医療施設調査は, 厚生労働省が行っているもので病院及び診療所について, その分布及び整備の実態を明らかにするとともに, 医療施設の診療機能を把握し, 医療行政の基礎資料を得るためのものです。3年ごとの静態調査と変更があった場合の動態調査に分けられています。「悩みやストレスを感じている人の割合」は健康増進法に規定された健康21で調査されていますね。健康増進法からは, 公的な場所での禁煙なども出題される可能性があります。
選択肢5 全国家庭動向調査は, 家庭機能の変化の動向や要因を正確に把握するため, 家庭の出産, 子育ての現状、家族関係の実態を明らかにすることを目的としています。実施主体は, 国立社会保障・人口問題研究所です。精神疾患による通院患者数も患者調査ですね。
今日は二問。疲れましたー。まだまだ先は長いですねー。国家試験を受ける時には最低3年分の過去問を隅々まで見ておく必要があります。来年受験予定の方は早めに始めておきましょうー。
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