第26回-精神専門5

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問題5 アルコール関連障害及びアルコール依存症に関する次の記述のうち, 正しいものを2つ選びなさい。
1 病的酪酎は, 断酒後に起こる。
2 コルサコフ症候群では, 作話を認める。
3 母親の大量飲酒によって, 胎児性アルコール症候群が起こり得る。
4 ウェルニッケ脳症では, 両下肢の麻揮を認める。
5 アルコールの離脱症状の治療で必要なのは, ビタミンAの投与である。

アルコール関連障害の問題ですね。これは精神保健の分野でも頻出なのので, 解けた人も多いのではないでしょうか?

選択肢1 誤り。病的酩酊では, 多量に飲んだ訳でもないのに, 意識障害や粗暴な行動などが出現する状態です。ちなみに, 飲酒してアルコール血中濃度に応じた通常の酩酊を単純酩酊と言います。

選択肢2 正答。大量のアルコールによってビタミンB1 (チアミン)の吸収が障害されることによっておこるウェルニッケ脳症とその後遺症をコルサコフ症候群と言います。健忘症候群とも言われ, 理解力や計算などの能力は比較的保たれますが, 記憶力が著しく低下するため, 自分の話につじつまを合わせるために作話などの症状が出現します。

選択肢3 正答。妊娠中にお酒を飲むことによって, 胎児にアルコールの影響が及び, その結果生じる発達障害や行動障害, 学習障害などを胎児性アルコール症候群と言います。「大量」と書いてあるサイトと「習慣的に」と書いてあるサイトがありましたが, まあこの選択肢が正解だと思います。

選択肢4 誤り。ウェルニッケ脳症については選択肢2で説明しているので割愛しますが, 両下肢の麻痺は起こらないと思います。

選択肢5 誤り。アルコールの離脱症状は, 大きく分類して早期離脱症状後期離脱症状があります。早期離脱症状は, 飲酒をやめて数時間すると出現するもので, 手や全身のふるえ, 発汗(特に寝汗), 不眠, 吐き気, 嘔吐, 血圧上昇, 不整脈, 焦燥感などがあります。後期離脱症状は, 振戦せん妄ともいい, 断酒後2–3日目に生じ, 主な症状は, 幻視, 見当識障害, 興奮です。このような離脱症を軽減するために, アルコールと似た作用をもつベンゾジアゼピン系の抗不安薬や不眠症治療薬が用いられます。アルコール依存症患者に不足しがちなのは, 選択肢2にあるようにビタミンB1になるので選択肢は誤りですね。

やっと5問目完了!!まだまだ先は長いですねー!!

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