第26回-精神専門4

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問題 4 次のうち, ICD–10 (国際疾病分類第10版)で「F4. 神経症性障害, ストレス関連障害及び身体表現性障害」に分類されるものとして, 正しいものを1つ選びなさい。
1 一過性全健忘
2 気分変調症
3 ガンザー症候群
4 レット症候群
5 トゥレット症候群

ICD-10は, 世界保健機構(WHO)の設定した, 国際疾病分類の第10版です。この分類は精神疾患に限らないものですが, F00-F99にかけてを「精神および行動の障害」として分類しています。例えばF0は器質性精神疾患, F1は精神作用物質, F2は統合失調症という用に大きな分類があり, F以降の2桁目の数字でさらに細かく分類されていると理解してください。このコードについて全て覚えるのは現実的ではありませんが, 大枠については目を通しておく必要があるでしょう。

設問のF4は「神経症性障害, ストレス関連障害及び身体表現性障害」の分類となります。つまり, ストレスによって生じる外因性の精神疾患を選択肢の中から選ぶ問題になると思います。この設問はそれぞれの病気についてどれだけ知っているかが勝負になる問題ですね。あまり馴染みのない病名も多いので難問だったと思います。

昨年のこちらの問題も参考になるのでチェックしておきましょう。

選択肢1 誤り。一過性健忘とは突然何の前兆もなく, 短期記憶の消失と, 近時記憶の逆行性健忘で発症するもので, 発作中はごく普通に生活していますが, その期間の記憶がなくなります。健忘のみでそのほかの症状がなく24時間以内に回復するのが特徴です。軽い脳卒中, てんかん, 頭部外傷, 精神的なショック, 初期のアルツハイマー病など, いろいろな原因で起こるとされているので, ストレス性の疾患とは言えません。

選択肢2 誤り。気分変調症は, F3の感情障害に分類されます。ほぼ1日中持続する抑うつ気分が長期間続く慢性疾患です。うつ病とどう違うかというのが難しいのですが, こちらのサイトが分かりやすかったです。引用すると, 「気分変調症では, たまに大きな落ち込みが見られますが, ほとんどの場合症状は軽く, 日常生活に大きな支障は出ず, 「ちょっと元気がない」という程度に見えてしまいます。」ということです。

選択肢3 正しい。ガンザー症候群は, 解離性障害の症状の一つです。強いストレスやショック等から逃れる為の防衛反応として, 非論理的な言動を行ってしまったり, 様々な症状が現れます。ストレスによって生じる外因性の精神疾患に分類されますので, これが正答だと思いますね。

選択肢4 誤り。レット症候群は女児のみに認められる自閉症やてんかん, 失調性歩行, 特有の手もみ動作(常同運動)を主徴とする進行性の精神・神経疾患です。神経系を主体とした特異な発達障害なので誤りですね。こちらのページに詳しく掲載されていました。

選択肢5  誤り。トゥレット症候群は, 音声チックを伴い複数の運動チックが, 一 年以上持続する精神神経疾患です。原因は不明ですが, 家系発症が多く, 遺伝性素因が指摘されています。こちらを参考にしてください。

さて, 4問目終了ですー。今日はここまでー。

 

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