第26回-精神専門15

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問題 15 性同一性障害に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
l「性同一性障害特例法」では, 15歳以上の性同一性障害者が, 性別取扱い変更の審判を請求できると定められている。
2 MTF (male to female)とは, 生物学的な性別は女性であるが, 心理的には男性であるものをいう。
3 治療においては, ホルモン療法や手術療法を行う前に, 望みの性別で可能な限りの社会生活を送る「実生活経験」を行うことが推奨される。
4「診断と治療のガイドライン」において, 性別適合手術は, 年齢を問わず適応される。
5 中学校の保健体育の学習指導要領には, 性同一性障害に関する対応方法が記載されている。

これも滅多に出題されない問題で, 普段からどの程度ニュースなどに興味を持っているかが問われているんだろうと思います。また, 精神科領域ではトランスジェンダーなどの悩みを主訴に来院される例もありますので, 基礎知識として知っておく必要はあるかもしれません。

性同一性障害特例法は, 心と体の性別が一致しない人の性別変更について定めた法律で, 2004年に施行されました。複数の専門医が診断した上で, 20歳以上かつ性別適合手術を受け, 未成年の子がいないなどの条件を満たせば, 家庭裁判所に性別変更を申し立てられます。

選択肢1 誤り。法的に性別を変更する権利を有するためには上記の内容を全て満たす必要があります。20歳が正答です。

選択肢2 誤り。生物学的性別が男性で, 性の自己意識が女性である事例をMTFといいます。選択肢は, FTM (Female to Male) の説明。これを自信もって答えれる人はあまりいないとは思いますが, 逆にする問題は良く出題されるので, 外せた人も多そうですね。

選択肢3 正しい。性同一性障害に関する診断と治療のガイドラインによると, 実生活経験について記載されています。

選択肢4 誤り。『性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン』によれば, 現在手術の適応は18才からです (20歳から引き下げ)。ちなみに, ホルモン療法の開始年齢は15歳に引き下げになっているみたいですね。ただし, 18歳未満で始める場合は, より慎重さが求められるため, 2年以上のジェンダークリニックで経過を観察されたものだけに限定される, という条件があります。

選択肢5 誤り。教育メディアにおいて, セクシャルマイノリティが取り上げられるようになったのは, 高校家庭科が最初ですが, 学習指導要領には含まれていないと思います。これはちょっと自信がないのですが, この論文を参考にしました。

今日はここまでー。

 

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