第26回–共通科目4

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問題4 Aさん (55歳, 男性) は, 3年前に筋萎縮性側索硬化症 (ALS)と確定診断されている。6か月前に, 嘩下が困難になり, 発熱, 脱水のため入院して, 誤嚥性肺炎と診断された。その後, 胃瘻造設術を受けている。現在は, 退院して自宅にいるが, 球麻揮 (嘩下困難, 構音障害など) があり, また四肢の筋萎縮と筋力低下が著明で寝たきりの状態である。右上肢は肘と手首を少し動かすことはできるが, 手指を動かすことはできず, 左上肢と両下肢はほとんど動かすことができない。眼球は動かすことができる。
次の記述のうち, Aさんの症状に関連する事項として, 正しいものを1つ選びなさい。
1 経口摂取をしていないので, 誤嚥性肺炎を再発することはない。
2 球麻痺があるため, コミュニケーションの確立はできない。
3 呼吸筋障害による呼吸不全をきたすことがある。
4 感覚障害と排尿障害を伴うことが多い。
5 介護保険の給付を受けられない。

おおなんか不思議な問題ですねー。事例を読まなくてもALSの症状ってことで解答できると思います。このページが参考になりました。

選択肢1 誤り。誤嚥性肺炎については, よく出題されます。食物, 液体, 胃の内容物や咽頭分泌物を誤嚥あるいは誤飲し,咳反射などでこれを排除できないときに発生しやすいとされています。胃瘻によって飲食物を経口接種していない時でも, 唾液や胃からの逆流によって誤嚥性肺炎を起こす事はよくあります。

選択肢2 誤り。球麻痺は, 延髄にある運動神経の障害による麻痺で舌, 口唇, 口蓋, 咽頭, 喉頭を支配する神経や筋肉が進行性の萎縮を起こし, 嚥下障害咀嚼障害, 構音障害などをきたすものです。確かに言語によるコミュニケーションは困難にはなりますが, 「コミュニケーションの確立はできない」は言い過ぎでしょう。こちらのリンク先はgoogleの画像検索ですが, 眼球が動けばこのようなコミュニケーションボードを使って意思伝達を行うことが可能です。

選択肢3 正答。ALSの運動障害では, 呼吸筋障害による呼吸不全が死亡要因になるので, 呼吸管理が大事になっていますね。

選択肢4 誤り。ALSでは一般には感覚障害や排尿障害, 眼球運動障害はみられません。

選択肢5 誤り。ALSは, 厚生労働省が定める特定疾患の一つなので, 40~64歳の第二号介護保険被保険者でも利用できますね。

今日はここまでー。

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