第26回–共通科目15

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問題15  階級及び階層に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 マルクスは, 階級を生産手段の所有と非所有に基づいて区別されると定義した。
2 ウェーバーは, 階級を社会的な名誉や威信に基づくものと定義したので, 身分と同様, 生得的であると考えた。
3 地域権力構造論とは, コミュニティでは, たとえ一部のリーダー等であっても, 有力な階層として権力をもつことはないとする考え方である。
4 階層移動とは, 一生のうちに個人がある階層から別の階層へと移動することを意味するので, 親と子の世代間で階層帰属が異なることを意味するものではない。
5 階層帰属意識とは, 労働者階級, 中間階級, 資本家階級のいずれに属するかに関する客観的な評価を意味する。

さて, 新しい科目です。ちょっと科目の順番を変えていましたが, 今度は社会理論と社会システムですね。この科目も結構得意不得意が分かれる科目ですね。

いきなり社会学的な問題です。難しいー。

選択肢1 正答。マルクスは出題頻度が高いです。非常にざっくり言うと, マルクスは, 労働者が資本家によって搾取されている社会っておかしいじゃん!!労働者は一生懸命毎日働いているのに, 資本家は労働者に働かせて自分たちはなにもしてない。これは昔の貴族が農民働かせてたのと変わんないよ。。。って感じの思想を持っていました。その資本家 (ブルジョワジー)と労働者 (プロレタリアート)の違いってのは結局生産手段 を持っているかどうかの違いだから, この資本主義の仕組みをなんとかしないといつまでもこの階級格差はなくならないってことで, この生産手段を一部のブルジョワジーではなく社会全体の財産にすべきだ!!という共産主義を唱えました。

選択肢2 誤り。ウェーバーはマルクス主義に加えて, 階級は生産手段を支配しているか否かだけでなく, 所有とは直接かかわりのない差異からも発生するとしています。例えば, 熟練した技能などもこれに当たります。これらは生得的なものだけではありませんね。

選択肢3 誤り。このページを参考にしました。ハンターの『コミュニティの権力構造』では, 少数のエリートがコミュニティを支配している権力構造が示されています。逆にダールの『統治するのはだれか』では, 影響力を行使しうる人状況によってが異なり, 権力構造は多元的であるとしています。どちらにしても選択肢は誤りだと思います。

選択肢4 誤り。階層の移動には, 世代間移動 (ある家族の2世代以上にわたる社会的地位の変化) もあります。階層移動については昨年のこちらの問題でも出題されています。詳しく説明しているので是非リンク先を参照してください。

選択肢5 誤り。これはわかりそうですね。階層帰属意識とは, 自分がどの社会的階層に属しているかという主観的意識のことを示します。例えば自分は中流階級だなーって思うとかそういうものです。

今日はここまでー。最近ちょっとプライベートな用事が忙しくなってきたので, 一日一問は今日でおしまいにして, 残りはのんびりやっていくことになりそうです。。なんとか7月までには終わらせたいところですね。

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