第25回-共通科目16

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近代社会の特質に関する次の考え方のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 近代社会の社会的公正には, 機会の平等を前提に貢献度に応じて分配する均等原理という考え方がある。
2 近代社会では, コミュニティから人々の関心に基づいた機能的なアソシエーションが派生し, 社会分化が一層進む。
3 近代社会では, 個人が社会のなかで占める地位を決定するのは業績よりも属性である。
4 社会進化論では, 近代社会への移行を産業型社会から軍事型社会への進化であるととらえた。
5 近代社会では, 社会移動が常態化したので, ブルジョアジーとプロレタリアートという2つの階級が解消され, 階級間の平等が実現した。

これも難しい問題ですねえ。グーグル先生に聞いてみよう。。。

選択肢1  誤り。均等原理とは, 機会均等が前提にあれば, その中の不平等は許容されるという意味です。黒人差別の話に例えれば, 「黒人だから大学に進学できない」という機会不均等の状況において, 白人と黒人の間の所得に差があるのは問題であるが, 同じ教育機会を得た上で, 両者の成果に違いがあり, 結果として所得に差が出てくるのは不平等とは言えないという意味です。つまり, 平等は結果の平等ではなくチャンスの平等という捉え方をすればいいのではないでしょうか。少し例が難しいですね。これはちょっと自信がないのです。だれか社会学に詳しい人まちがっていたら教えてください。

選択肢2 正答。コミュニティとアソシエーションについてはマッキーバーの理論で説明されています。彼によると, コミュニティは, 特定の共通した類似性, 共同性によって区切った単位のことで農村共同体や, 町内会などを指します。アソシエーションは, 特定の人たちの共通の目的や利害関心により組織化された集団の単位です。両者を比較する問題はかなり出題されますし, 似たような概念であるテンニースゲゼルシャフトゲマインシャフトも大事なので要チェックですねー。

選択肢3 誤り。属性原理とは, 年齢, 性別, 身分など個人の努力では変えられない評価基準が優位な社会であり, 前近代社会がこれに当たります。日本だと士農工商によって身分制度が決まっていた江戸時代とかもこれですね。近代社会は, 選択肢の業績原理であると言われています。日本社会にはまだまだ, 属性原理も含まれているような感覚ももちますけどね。

選択肢4 説明が逆です。社会進化論スペンサーが提唱した概念です。彼によると, 軍事型社会から産業型社会へという方向性が設定され, 前者においては,個人はあくまで全体のために存在しているため, 個人の自由は抑圧されるが, 後者においては,社会はあくまでその成員である個人のために存在しており,相互に平等な個人の自由が市場取引に不可欠なものとして保障されているとされる。

選択肢5  こちらのページが参考になります。以下かなり抜粋させてもらいました。

社会の成員が職業の変更, 学歴資格の取得, 婚姻などによって, 社会階層上における社会社会的地位を移動することを社会移動と呼びます。ここでいう社会は主に職業や学歴などで序列づけられています。例えば, 政治家の二世議員などがよく問題になっていますが, 現在社会ではこの社会移動はずいぶんと活発になってはいますが, まだまだ格差は残っていると考えることができるでしょう。ブルジョワジーは富裕層, プロレタリアートは労働者階級と覚えておけばいいと思います。

ちなみに, 社会移動には, ①垂直移動水平移動, ②世代内移動世代間移動, ③強制移動純粋移動には3つがあります。
垂直移動とは, 社会的地位の上下を伴う移動, 水平移動とは同一階層内での移動を指します。また, 世代内移動とは, ある個人の一生涯の中での社会的地位の移動を指し, 世代間移動とは, ある家族の2世代以上にわたる社会的地位の変化を指します。例えば, 代々国会議員を出す政治地盤の中で, 一時期的に新人が当選してもその新人の子供が国会議員になるとはかぎりませんよね。これは世代内移動が起こったが, 世代間移動は起こっていないということです。
強制移動とは, 職業構造の変化や経済的変動, 人口動態など外的要因言い換えれば社会的地位の分布の変動に基づく移動を指します。極端な例ですが, 明治維新の結果, 士農工商制度がなくなりましたよね。あれは個人の意思とは関係なく社会の流れで社会移動が行われたわけです。逆に, 純粋移動とは移動機会の多寡によって左右される移動を指します。社会成員にがそれぞれの社会的地位に基づく平等の機会の大きさを示す。先祖代々続く漁師の家計でも, 個人ががんばれば弁護士になることもありますよね。

社会理論改めて勉強すると面白いですねー。

昨日はアクセスが200件超え!!うれぴー。

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