第26回–共通科目23

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問題23 福祉国家に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 マーシャルのシチズンシップの分類に従えば, 福祉国家は, 市民的権利や政治的権利と並び, 社会的権利を重視する国家ということになる。
2 福祉国家に関する様々な学説は, 欧米でも日本でも19世紀末に社会保障の基本的な体制が成立したという点では一致している。
3 福祉国家は, その目的を実現するに当たり, 人々の行為を法律で禁止又は奨励する「規制的な手段」はとらない。
4 エスピンーアンデルセンの福祉国家の類型化によれば, 社会民主主義レジームでは, 市場の役割が大きいとされる。
5 現在の福祉国家は, 労働人口の比重がサービス業から製造業に移る工業化への対応を迫られている。

いやー。いかにも現代社会って感じの問題です。どこまで覚えていたのかが勝負ですね。

選択肢1 正答。マーシャルについてはこちらのページを参考にしました。シチズンシップは「ある共同社会の成員に与えられた地位身分」という意味で市民権, 政治権, 社会権の三つを分類しました。この3権は, 成立の順番も大事ですね。

市民権は簡単に言うと, 「わしのことほっといてくれやー!!」っていう権利です (信仰, 思想, 職業選択)。この市民権が満たされた次の段階では, 政治権 (立候補, 投票)によって政治権力の行使に参加する権利が成立します。市民権と政治権の後に成立する社会権は「国がわしらの権利を積極的に守って!!!」っていう感じで, 所得保障や教育を受ける権利などを示します。選択肢のように, 福祉国家は市民権, 政治権だけではなく社会権を重視する立場ですね。

選択肢2 誤り。この問題は分からないので, 中央法規の解説を覗き見。。えっと19世紀という説もあるけど, 20世紀の中頃という説が有力。。だそうです。まあ, 戦後って意味で考えれば19世紀にはまだ「ゆりかごから墓場まで」もなかったわけだからそんなもんかなあという感じですね。

選択肢3 誤り。これは誤りっぽく読める文章ですね。禁止という意味では, 労働基準法など労働者の権利を守る法律によって企業が社会権の侵害をすることを禁止していますし, 障害者雇用促進法では, 雇用納付金制度における雇用調整金で障害者の雇用を奨励しています。

選択肢4 誤り。こちらのページを参考にしました。とても分かりやすいページですね。エスピンアンデルセンは先進資本主義国家を三つのに分類しています。1つ目はユニバーサルな福祉を制度化する社会民主主義レジーム。企業と家族が主な福祉を提供し, 政府はそれを補助する形の保守主義レジーム。そして市場重視で政府による福祉は最低限に抑える自由主義レジームです。選択肢は自由主義レジームの説明ですね。社会民主主義レジームは国家が責任を持つことが特徴です。

選択肢5 誤り。これは福祉国家とは直接関係なくても解ける問題です。現代社会の労働人口の比重は, 製造業などの工業からサービス業に変化しつつあります。

うむ。この問題も難しかったけど選択肢は絞れたかなあ。今日はここまでー。

 

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