第26回–共通科目36

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問題36 社会福祉法における地域福祉に関係する規定についての次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 地域住民には, 「社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者」の事業や活動を代替する役割があると規定されている。
2 福祉サービスの利用に際して苦情があるとき, 利用者は都道府県社会福祉協議会に設置された運営適正化委員会に申し立てることができるとされている。
3 地域福祉計画の策定に当たっては, 要援護者への意見聴取をしなければならないと規定されている。
4 市町村社会福祉協議会の業務は, 「社会福祉を目的とする事業の企画及び実施」や「社会福祉に関する活動への住民の参加のための援助」であり, 「社会福祉を目的とする事業の調査, 普及, 宣伝, 連絡, 調整及び助成」は含まれない。
5 共同募金において寄附金を募集する区域は都道府県を単位とし, 募集期間は都道府県知事が定めるとされている。

複合的な問題です。ちょっと難しいかもしれませんが, どこまで選択肢を外せるかという感じでしょうか。条文を確認しながら解説してみます。

選択肢1 誤り。これは明らかに違いますね。社会福祉法第4条には「地域住民, 社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者は, 相互に協力し, 福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み, 社会, 経済, 文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられるように, 地域福祉の推進に努めなければならない。 」とありますが, 選択肢のように「代替」する役割はありません。

選択肢2 正答。社会福祉法第83条に「都道府県の区域内において, 福祉サービス利用援助事業の適正な運営を確保するとともに, 福祉サービスに関する利用者等からの苦情を適切に解決するため, 都道府県社会福祉協議会に, 人格が高潔であつて, 社会福祉に関する識見を有し, かつ, 社会福祉, 法律又は医療に関し学識経験を有する者で構成される運営適正化委員会を置くものとする。 」とあります。都道府県社会福祉協議会に必置義務があると覚えておきましょう。

選択肢3 誤り。社会福祉法第107条には「市町村は, 地域福祉の推進に関する事項として次に掲げる事項を一体的に定める計画を策定し, 又は変更しようとするときは, あらかじめ, 住民, 社会福祉を目的とする事業を経営する者その他社会福祉に関する活動を行う者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるとともに, その内容を公表するよう努めるものとする。 」とあります。これは要援護者は地域を構成する住民の一人であるという考え方が明記されていると覚えておけばいいと思います。要援護者だけではなく, 住民全体の意見や実際の社会福祉事業を行っている人々の意見を聞きなさいということだと考えられるので誤りですね。

選択肢4 誤り。これも明らかに誤りですね。社会福祉協議会については社会福祉法第109条で規定されています。そこでは, 以下の4つを社会福祉協議会の業務として規定しています。

一 社会福祉を目的とする事業の企画及び実施
二 社会福祉に関する活動への住民の参加のための援助
三 社会福祉を目的とする事業に関する調査, 普及, 宣伝, 連絡, 調整及び助成
四 前三号に掲げる事業のほか, 社会福祉を目的とする事業の健全な発達を図るために必要な事業

選択肢5 誤り。共同募金もよく出題されるので注意が必要です。社会福祉法第112条に規定されています。「この法律において「共同募金」とは, 都道府県の区域を単位として, 毎年一回, 厚生労働大臣の定める期間内に限つてあまねく行う寄附金の募集であつて, その区域内における地域福祉の推進を図るため, その寄附金をその区域内において社会福祉事業, 更生保護事業その他の社会福祉を目的とする事業を経営する者に配分することを目的とするものをいう。 」選択肢は, 都道府県知事となっていますが, 厚生労働大臣が正答です。共同募金については, これ以外にも第1種社会福祉事業であることや, 区域内配分の原則 (災害準備金を除く) 等々かなりよく出題されるので, ワークブック等で確認しておいてください。

今日はここまでー。

 

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