第26回–共通科目40

Pocket

問題40 地域福祉におけるニーズ把握に関する次の記述のうち, より適切なものを, 2つ選びなさい。
1 生活上のニーズを把握するために, 認知症高齢者の家族から状況を聞き取り, KJ法を応用して意見を集約した。
2 子育てに関する個別具体的なニーを把握するために, 一部の回答者のニーズが強調されすぎるため聞き取り調査は避けて, 質問紙調査で全体のニーズを把握した。
3 在宅介護を受けている認知症高齢者のニーズを把握するために, 本人を対象としてアクション・リサーチの方法を用いて調査した。
4 在宅で暮らす高齢者の潜在的なニーズを把握するためにふれあい・いきいきサロン活動に参加し, 活動の合間に参加者から話を聞いた。
5 住民全体のニーズを把握するために, インターネットで質問に回答してもらうことで, 量的に幅広く住民のニーズ把握をすることにした。

調査に関する問題です。専門科目の「精神保健福祉に関する制度とサービス」でもよく出題される内容なので, どちらかというとサービス問題でしょうか。

選択肢1 正答。KJ法は, 文化人類学者の川喜田二郎がデータをまとめるために考案した手法です。選択肢のように, 家族から状況を聞き取ったデータをまとまりのあるものに分類して, 集約するのには適した方法だと考えられます。

選択肢2 誤り。選択肢の中に矛盾がありますね。「個別具体的なニーズ」を把握するためには質問紙による量的な調査よりも個別の聞き取り調査の方が有用だと考えられます。

選択肢3 誤り。アクションリサーチとは, 社会活動で生じる諸問題について,小集団での基礎的研究でそのメカニズムを解明し,得られた知見を社会生活に還元して現状を改善することを目的とした実践的研究です。個別のニーズの把握のために使用するというよりも, 例えば精神障害者のデイケアのグループ等で使用したりされる手法ではないでしょうか。

選択肢4 正答。調査法の中では参与観察に分類される手法だと思います。参与観察は調査者が被調査者集団の内部で長期にわたって生活し,その実態を多角的に観察する方法です。

選択肢5 誤り。これも選択肢の中に矛盾がありますね。幅広く住民のニーズを把握するためには, 質問紙調査などが有用だと思います。インターネット調査は手軽にできますが, 高齢者などはインターネットを利用しにくいので一部のニーズが拡大されて抽出される可能性が高くなると思います。

今日はここまでー。

カテゴリー: 第26回共通科目, 地域福祉の理論と方法 パーマリンク