第26回–共通科目45 ちょっと改訂版

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問題45 福祉計画等と事業の財源との関係に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 市町村は市町村介護保険事業計画に規定する介護サービスの見込量に基づき, その市町村に居住する第2号被保険者の保険料額を定めなければならない。
2 国は, 市町村健康増進計画に基づいて, 住民の健康増進のために必要な事業を行う市町村に対し, 予算の範囲内で事業費の一部を補助することができる。
3 市町村は, 都道府県医療費適正化計画に規定される医療費の見通しに基づいて, 国民健康保険料を定めなければならない。
4 市町村は市町村障害福祉計画に規定する障害福祉サービスの見込量に基づき利用者負担額を定めなければならない。
5 都道府県は, 市町村老人福祉計画に規定するサービスの見込量に基づき, 市町村に対し, 養護老人ホームの入所に係る措置費の一部を補助することができる。

この問題もかなり難しいですねえ。調べれば分かるのですがなかなか自信を持って解答するのは難しいかもしれません。

選択肢1 誤り。介護保険の費用負担は, 利用者負担を除いて、公費が50%(国25%・都道府県12.5%・市区町村12.5%)で, 残りの50%を介護保険の被保険者からの介護保険料でまかなっています。

保険料の計算方式は第一号被保険者 (65歳以上)と第二号被保険者 (40歳から65歳)によって異なります。第一号被保険者の保険料は市町村が市町村介護保険事業計画に規定する介護サービスの見込量に基づき決定します (つまり市町村によって異なります)。第二号被保険者の保険料は医療保険料と合わせて介護保険料を納める方式で, 加入している医療保険によって異なりますが, 全国ベースで所得に応じて決められます。選択肢は第2号ではなく第1号の説明になっているので誤りでしょうねー。

選択肢2 正答。健康増進法の目的において「 国民の健康の増進の総合的な推進に関し基本的な事項を定めるとともに, 国民の健康の増進を図るための措置を講じ, 国民保健の向上を図る。」としています。そのため, 都道府県健康増進計画の策定が義務づけられ, 市町村健康増進計画の策定が努力義務となっています。国は都道府県又は市町村に対し, 予算の範囲内において当該事業に要する費用の一部を補助することができます。その他, 第2節の受動喫煙の防止などが有名ですね。

ただ, この選択肢は見ようによっては「都道府県」があえて削除されているようにみえるのでちょっと不適切な問題ではないかなあ。。。

選択肢3 誤り。「都道府県医療費適正化計画に規定される医療費の見通し」の部分が誤りだと思います。国民健康保険の保険料は, 所得割 (加入者の所得から計算される), 均等割 (世帯の人数によって計算), 平等割 (各世帯ごとに計算) を合算して決められます。自治体によってそれらの額や割合は異なっているので, 最終的な額は市町村の条例で決められます。所得や住んでいる場所によって結構額が増減するので注意が必要です。

選択肢4 誤り。障害者総合支援法における利用者負担は「支給決定障害者等の家計の負担能力その他の事情をしん酌して政令で定める額」とされています。障害者自立支援法が障害者総合支援法に改正される際に, 家計の負担能力に応じた負担(応能負担)を原則とすることが法律上も明確にされた (実際の給付体系はほとんど変わっていないという側面もありますが)ことについても注意しておく必要がありますね。

選択肢5 誤り。養護老人ホームは, 環境上の理由及び経済的理由により自宅で生活する事が困難な高齢者が入所する施設です。介護保険に基づいた介護保険施設ではなく, 施設への入所は市町村の措置により行われます。この措置費用の都道県支弁については「養護老人ホーム等保護費負担金」という形で都道府県が負担していましたが, 平成17年度より入所措置の実施者である市町村に一般財源化されています。

(追加) 質問と指摘を受けたのでちょっと解説に改訂しました。

うーむ。これはかなり難しかったですね。この科目は0点が怖い。。。

 

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