第26回–共通科目50

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問題50 社会保障制度の歴史に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 ドイツでは, 18世紀終盤に, 宰相ビスマルクにより, 法律上の制度として世界で初めて社会保険制度が整備された。
2 アメリカでは, 世界恐慌の中, ニューデイール政策が実施され, その一環として低所得者向けの公的医療扶助制度であるメディケイドが創設された。
3 フランスでは, 連帯思想が社会保険制度の段階的な充実につながり, 1930年には, ラロック・プランに基づく社会保険法が成立した。
4 イギリスでは, 1990年代に, サッチャー政権が効率と公正の両立を目指す「第三の道」を標傍し, 就労支援を重視した施策を展開した。
5 日本では, 1960年代に国民皆保険・皆年金制度が実現し, その他の諸制度とあいまって社会保障制度が構築されてきた。

この問題は社会保障でよく出題される内容なので, 覚えていれば解けた問題だと思います。こういうのって面倒だけどやっぱり覚えておかなくちゃ。全体的に年号問題といった感じもありますが, 世界の社会保障の流れが分かっていれば解けた問題かなあ。諸外国の制度についてはこの問題が自信を持って解答できるレベルまで学習しておきたいものです。

選択肢1 誤り。ビスマルクは, 1883年に世界ではじめて社会保険方式の疾病保険 (医療保険)を整備しました。選択肢は18世紀と書いてありますが, 19世紀なので間違いですね。疾病保険法は, 工業,手工業などの特定のサー ビス業に働く一定所得以下の労働者を強制加入させ,労働者3分の2,事業主3分の1の割合で分担される拠出金(保険料) によって医療や最低賃金の保障を目指す制度です。

選択肢2 誤り。世界恐慌の1929年は覚えておいた方がアメリカの社会保障の理解が進みます。世界恐慌の影響を受けてルーズベルトが行ったニューディール政策では, 老齢遺族年金, 失業保険, 公的扶助を中心とする社会保障法 (1935) が有名です。メディケア, メディケイド, フードスタンプなどの施策は, 第二次大戦後1960年代の「貧困との戦い」の中で実施された施策ですね。

選択肢3 誤り。ラロックプランは, 1945年,フランスにおける社会保障制度の統一を図ったものです。戦後の社会保障制度という意味では, ベバリッジ報告と同じ方向性を持ったものです。

選択肢4 誤り。第三の道はブレア政権のキャッチフレーズですね。イギリスは第二次大戦後, いわゆる「ゆりかごから墓場まで」の高福祉を目指していましたが, 経済成長の停滞から民主党サッチャー政権による緊縮財政に移行します。1997年に労働党が政権に復帰してからは, 第3の道 (ニューレイバー)と言われ, 公立と校正の両方を目指す施策に舵を切っています。この第三の道は, 就労などにより社会参加を目指す人を支えるポジティブウェルフェアが特徴的ですね。

選択肢5 正答。この年号を覚えておけばとけた問題ですね。日本における国民皆保険・皆年金は1961年です。

うむ。今日はここまでー。私事ですが来週からしばらく海外の学会に参加することになったので, 今日はもう少しがんばって来週用にできるところまで予約投稿しておきますー。

ボンジュール!!

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