第26回–共通科目54

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問題54 事例を読んで, 障害年金制度に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Lさんは, 大学在学中に20歳となり国民年金の第1号被保険者となったが, 学生納付特例制度を利用し, 国民年金保険料の納付は行っていなかった。大学卒業後に民間企業に就職したが, 入社1年後に精神疾患の診断を受け, 療養のために退職した。Lさんは障害年金を受給したいと考えている。

1 Lさんが, 国民年金法が定める障害等級2級に該当すると認定を受けたとしても, 学生納付特例制度により納付を猶予された保険料を初診日の前に追納していなければ, 障害基礎年金は支給されない。
2 障害認定日に障害の状態に該当しないとされた場合であっても, 10年後に裁定請求し障害等級2級と認定されたときは, Lさんに対して障害基礎年金が支給される。
3 Lさんが障害厚生年金を受給するためには, 精神疾患による障害認定日が厚生年金保険の被保険者期間内でなければならない。
4 精神疾患による障害が, 国民年金法が定める障害等級2級に該当する場合, Lさんに支給される障害基礎年金の支給額は老齢基礎年金の満額の1.25倍となる。
5 Lさんの精神疾患が業務災害によるものであり, 労災保険から障害補償年金が支給される場合, Lさんに対して障害基礎年金は支給されない。

この問題は精神保健福祉に関する制度とサービスで出題されそうな問題ですねー。

選択肢1 誤り。こちらのページを参考にしました。日本国内に住むすべての人は, 20歳になった時から国民年金の被保険者となり, 保険料の納付が義務づけられていますが, 学生については, 申請により在学中の保険料の納付が猶予される学生納付特例制度が設けられています。障害基礎年金や遺族基礎年金については, 学生納付特例制度の承認を受けている期間は, 保険料納付済期間と同様に当該要件の対象期間になりますので, 万が一のときにも安心ですね。

選択肢2 正答。これは事後重症による請求を示していると思います。障害認定日 (1年6ヶ月時点)に請求した場合 (本来請求)に障害に該当しない状態であっても, 後に障害が悪化した場合には, 事後請求によって改めて障害年金の申請を行うことは可能です。それ以外にも, 障害認定日時点で本来請求をしていない状態で, 時間を置いてから請求する遡及請求 (5年間) もあるので注意が必要ですね。

選択肢3 誤り。障害年金の請求で保険料の納付要件を検討するのは障害認定日ではなく, 初診日が重要になります。初診察日の時点で(1)その事故が発生した月の前々月までの被保険者期間のうち保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が 3分の2以上ある場合, 又は(2)その事故が発生した月の前々月までの1年間に保険料の未納がない場合のいずれかの条件を満たしていることが必要ですね。ちなみに初診日が20歳未満の場合には国民年金自体に加入できないので, 保険料の納付要件はありません (所得制限あり)。

選択肢4 誤り。障害年金2級の額は, 老齢年金の満額と同じ額になります。1.25倍は障害年金1級の場合ですね。

選択肢5 誤り。労災保険の障害補償年金と障害年金は元々の掛け金そのものが違うので併給が可能です。ただ, 同一の障害であれば, 障害補償年金の一部が減額されますね。

これは解いておきたい問題でした。今日はここまでー。

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