第26回–共通科目53

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問題53 事例を読んで, 労働者災害補償保険制度(以下「労災保険」という。)に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
W国から日本に来たKさんは, 家電量販店を営むP社に雇用され, その指揮命令を受けて, 積み下ろし作業をしていたところ, 荷物が崩れて大けがをした。

1 Kさんが留学生であり, アルバイトとして働いていた場合, 労災保険は適用されず, 労災保険給付は行われない。
2 Kさんが故意に負傷の原因となった事故を生じさせた場合であっても, 労災保険給付は行われる。
3 荷崩れの責任がP社にある場合, Kさんは労災保険給付の価額の限度を超える損害について, 民事損害賠償を請求できる。
4 P社が労災保険のための保険料を滞納していた場合, Kさんには労災保険給付は行われない。
5 Kさんの負傷が業務上の災害に当たると認定されても, KさんがW国に帰国した場合には労災保険給付は行われない。

労災に関する問題ですね。しかも外国人労働者対象なのでかなり細かい所まで覚えておかないと厳しい内容です。どれだけ選択肢を狭めるかという感じでしょう。難問だ。。労災保険については昨年度のこちらの問題も参考にしてください。

選択肢1 誤り。労災保険は, 基本的に労働者を使用している事業について強制加入となっており, その勤務形態や国籍を問いません。保険料は事業主負担なので, 事業主にとっても突然の事故等に対しての公的年金として機能していますね。適用除外となっているのは, 国の直営事業(3現業,国有林野, 印刷, 造幣) 及び官公署の事業 (役所など国又は地方公共団体の事務を行う事業) のみなのでこれは誤りですね。この選択肢は削除できたかなあ。

選択肢2 誤り。これは明らかに誤りですね。故意または重大な過失が原因で発生した災害については, 保険給付が行われない規定があります。

選択肢3 正答。このページが分かりやすかったので, 抜粋させてもらいまする。労働災害について, 使用者側に故意・過失があるとすれば, 被災者に不法行為または安全配慮義務違反(債務不履行)による損害賠償請求権が発生します。労災保険制度は国の公的保険を利用した特別の法的救済制度であり, 損害の全てをカバーするものではないからです。

ただ, 労災保険は事業主がいざという時のためにかけているものなので, 労災保険が支給される場合には, その範囲は民事の賠償責任の対象外にはなるということです。

選択肢4 誤り。こちらのBlogが参考になりました。労災保険は全額事業主が支払うため, 被用者にとっては保険料が支払われれているかどうかを直接的に確認することはできません。もし, 事業主が滞納している場合でも休業補償給付等を請求することは可能です。この場合, 事業主はもちろん滞納中の保険料を支払う必要があると同時に追徴金 (保険給付の一部又は全部)を支払う必要が出てきます。事業主の方は保険料の支払いを忘れない様にしておかないといけませんね。

選択肢5 誤り。これは難しいですが, 日本で労災保険が認められている場合には, 労災給付は帰国後も保障されます。

今日はここまでー。

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