第26回–共通科目66

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問題66 生活保護法で規定されている被保護者の権利及び義務に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 被保護者は, 給付される保護金品に対して租税その他の公課を課せられることがない。
2 被保護者が文書による指導・指示に従わない場合は, 保護の実施機関は直ちに保護の停止・廃止の処分を行わなくてはならない。
3 収入, 支出その他生計の状況について変動があったときは, 速やかに被保護者の住所地を担当する民生委員に届け出なければならない。
4 被保護者は, 絶対的扶養義務関係にある同居の親族に限り”保護を受ける権利を譲り渡すことができる。
5 被保護者が生活の維持向上に向けて努力を怠っていると認められる場合は, 福祉事務所長はその費用の全部又は一部を, その者から徴収することができる。

ずいぶんと忙しくて更新をさぼっていました。今年はかなり厳しい日程です。参考にしてくださってる方にはご迷惑をおかけしてごめんなさい。。

これも比較的基本的な問題だったと思います。解いておきたいですね。

選択肢1 正答。現物や現金の差に関わらず生活保護で受け取っている給付は「健康で文化的な生活を送る」ための最低生活基準なのでここに租税等をかけてしまうと本末転倒ですよね。これを公課禁止といいます。

選択肢2 誤り。ちょっと長いですが第62条の指示に従う義務についての一部抜粋します。
第62条 被保護者は, 保護の実施機関が, 第30条第1項ただし書の規定により, 被保護者を救護施設, 更生施設若しくはその他の適当な施設に入所させ, 若しくはこれらの施設に入所を委託し, 若しくは私人の家庭に養獲を委託して保護を行うことを決定したとき, 又は第27条の規定により, 被保護者に対し, 必要な指導又は指示をしたときは, これに従わなければならない
3 保護の実施機関は, 被保護者が前2項の規定による義務に違反したときは, 保護の変更, 停止又は廃止をすることができる
4 保護の実施機関は, 前項の規定により保護の変更, 停止又は廃止の処分をする場合には, 当該被保護者に対して弁明の機会を与えなければならない。この場合においては, あらかじめ, 当該処分をしようとする理由, 弁明をすべき日時及び場所を通知しなければならない。

1項には被保護者の義務として指導指示に従う義務が課せられており, 3項において従わない場合には保護の停止・廃止等の処分を行えることが明記してあります。一方で4項には, もしそのような処分を行う場合に弁明の機会を与えることなどが記載されています。選択肢は「直ちに行わなくてはならない」とありますので誤りですね。ここの条文の理解についてはよく出題されるので確認しておきましょう。

選択肢3 誤り。収入, 支出その他生計の状況について変動があったときに届出をする相手は保護の実施機関又は福祉事務所と規定されています。

選択肢4 誤り。生活保護の性格を考えると保護を受ける権利を譲渡するとうのはあり得ないですね。一応第59条に「被保護者は, 保護を受ける権利を譲り渡すことができない。」と明記されています。

選択肢5 誤り。生活保護の費用徴収についてはこちらのPDFがわかりやすいです。具体的な費用の返還については, 以下の3点。これは覚えておきましょう。

1) 63条 (資力がありながら生活保護を受けた場合の費用の返還)→例えば土地はあるけどすぐに売れなくて, とりあえず生活保護を受けた場合とか。。

2) 78条 (不正受給者の費用徴収) →これは読んでそのままですね。

3) 77条 (扶養義務者からの費用徴収) →扶養義務者が十分な扶養能力を有しながら扶養義務を果たしていない場合, 保護実施機関は扶養義務者に対して既に支給した保護費の全部又は一部を徴収できます。この額についての協議がうまくいかない時には家庭裁判所がそれを決めます。

選択肢の内容である「生活の維持向上に向けての努力」は被保護者の義務として60条に規定されていますが, それに対する罰則として保護の費用の負担を徴収することはありません。

この問題は基礎的な内容の確認に大事な内容だと思います。しっかり見直しておくといいですねー。

今日はここまでー。

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