第27回–精神専門10

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問題10 次のうち, 精神科病院において, 精神保健指定医の判断を必須とする事項として, 正しいものを1つ選びなさい。
1 患者の身体拘束
2 医療保護入院患者の退院
3 身体合併症治療時の食事制限
4 任意入院患者に対する開放処遇の制限の開始
5 医療保護入院患者の12時間を超えない隔離

うーんこれもどちらかというと制度サービスとかで出題される問題ですねえ。内容は基本的なのでしっかりおさえておくべきでしょう。

精神保健指定医は措置入院, 医療保護入院の要否を判断する立場であり, 措置入院, 医療保護入院を行う精神病院には常勤の精神保健指定医を必ず置く必要があるなど, わが国の精神医療の重要な位置を占めているため, しっかり覚えておきましょう。選択肢は, 指定医, 特定医師, 医師の違いを問う内容であると思います。

精神保健指定医は, 5年以上の医籍, 3年以上の精神科経験及び研修が必要で, 5年ごとに更新を行う必要があります。また, 特定医師は, 医籍4年, 精神科経験が2年以上必要で, 特定病院に勤務している必要があります。

選択肢1  正答。拘束は, 非常に侵襲性の高い治療なので, 精神保健指定医でないとその判断をすることはできません。ちなみに拘束の解除は指定医でなくても行えます。

選択肢2 誤り。入院時は指定医又は特定医師 (72時間に限る) の判断と家族の同意が必要ですが, 医療保護入院の退院の判断は, 指定医でなくても可能です。

選択肢3 誤り。精神科でなくても身体合併症により食事の制限が行われることは十分に考えられます。一方, 閉鎖病棟ではこの制限がかなりの圧力になるので慎重になる必要がありますが, これも指定医の指示は必要ありませんね。

選択肢4 誤り。解放処遇の制限とは, 外出・外泊・面会や通信などの制限のことを示します。この点については可能な限り自由な処遇を行うことが原則ですが, 医師の判断で病状によっては一次的に制限を行うこともあり得ます。この点については指定医の指示は必要ありません。もちろん, 自由に制限を行っていいわけではありません。治療上必要がある場合に限られていますし, 制限を行う際には, 文書による告知等が必要になります。

ちなみに任意入院者の退院制限についてもここで一応。自分の意志で入院したクライアントさんは, 基本的には自分の退院したいときに退院できます。でも, 一時的に状態が悪くなってこのまま退院したら危険だなあという時には, 指定医の判断で72時間まで退院を延期することが可能です。この72時間の間に, 1) 本人が落ち着いて任意入院を継続する, 2) 症状が改善して退院する, 3) 家族と連絡を取って医療保護入院に入院形態を変更する などの対策を行います。ただ, 夜勤帯など常に指定医が病院にいるとは限りませんよね?そういう時には特定医師が12時間だけその代わりに退院制限を行うことが出来ます。

選択肢5 誤り。12時間までの隔離であれば医師の判断で行うことが可能です。これは医療保護入院者だけとは限りません。

今年の精神疾患と治療は全体的に難易度が低かったと思います。過去問をしっかり理解していれば7割程度は取れたのではないでしょうか。

今日はここまでー。

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