第27回–精神専門11

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問題11 次のうち, 燃え尽き症候群 (バーンアウトシンドローム) の主たる症状として, 正しいものを1つ選びなさい。
1 情緒的消耗感, 脱人格化, 個人的達成感の低下
2 耐えがたい眠気, 情動性脱力発作, 睡眠麻揮
3 一過性の幻覚, 手指の震え, 精神運動興奮
4 フラッシュバック, 回避行動, 過覚醒
5 自尊心の肥大, 考えが次々浮かぶ, 精神運動性の焦燥

さて, 新しい科目です。この問題は僕にとって相当サービス問題でした (管理人は, バーンアウト研究を中心とした社会心理学者でもあります。もしかするとそのうちBlogの中でアンケートを読者の皆さんに依頼するかもしれません。その時にはよろしくお願いします)。

選択肢1 正答。バーンアウトを測定する尺度としてMBI (Maslach Burnout Inventory)が有名です。その尺度ではバーンアウトの症状を情緒的消耗感, 脱人格化, 個人的達成感の低下という三つで説明しています。クライアントに対して情緒的エネルギーを費やして枯渇した結果 (情緒的消耗感), その資源の枯渇状態を補うために同僚やクライアントに対して情緒的な活動が出来なくなり (脱人格化), 結果として自らの仕事に対する意義を見失う (個人的達成感の低下) という一連のプロセスがバーンアウトの特徴であると言えます。ちょっと気合いを入れて説明しすぎました。。

選択肢2 誤り。これはナルコレプシーの説明ですね。ナルコレプシーは, 昼間の耐えがたい眠気や, 全身の力が抜けてしまう情動脱力発作, 寝入りばなに現れる睡眠麻痺などを主な症状とします。

選択肢3 誤り。これはアルコール依存症の離脱症状時に出現する振戦せん妄の説明だと思います。重度のアルコール依存症の方が飲酒を中断して後数日に不安・興奮・発汗・頻脈・手の震え・幻覚・意識障害などの症状が現れます。

選択肢4 誤り。これはPTSDの説明ですね。PTSD(心的外傷後ストレス障害)は, 強烈なショック体験, 強い精神的ストレスが影響して生じるものです。PTSDは, ショック体験が突然頭に浮かんできたり(フラッシュバック), ショック体験のきっかけになりそうな行動を避けたり (回避行動), 常に精神的に過敏な状態 (過覚醒) になるなどの症状が特徴的です。

選択肢5 誤り。これは双極性感情障害の説明だと思います。躁状態になると, 自己の能力を過信し, 実現不可能な計画を立てたり (自尊心の肥大), 考えが次々浮かぶ (観念奔逸), 精神運動性の焦燥などが見られます。

今日はここまでー。

 

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