第27回–精神専門12

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問題12「平成26年版自殺対策白書」 (内閣府) による日本の自殺に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 自殺死亡率は, 男性より女性が高い。
2 自殺死亡率は, アメリカよりも低い。
3 自殺者の半数が失業者である。
4 自殺者の原因・動機特定者のうち, およそ3分の2が原因・動機として健康問題を挙げている。
5 過去に自殺未遂歴がある自殺者数の割合は, 女性より男性が高い。

自殺関連は精神保健でよく出題されますね。昨年のこちらの問題もチェックしておきましょう。白書の原文はこちら。3万人を超えていた自殺者数がここ数年減少して3万人を切っていることも重要なので覚えておきたい所です。

選択肢1 誤り。性差に着目すると, 全体では男性が二倍以上多いです。また年齢別にみても全年代を通じて男性が多いですね (特に働き盛り)。一方80歳以上になると, ほぼ同数になることも注意が必要です (病苦が原因となる例が多い)。

選択肢2 誤り。ちょっと難しい問題かもしれません。日本の自殺率は1955年の段階では世界一の水準でしたが, 現在はロシア, 韓国などがその上位にいます (先進国限定では)。アメリカの自殺率は先進国の中では低い水準で推移していますね。自殺率の高い国は時代背景によって変遷します。例えば第1次世界大戦まではドイツ, フランスが高く, 戦間期には, ドイツ, 高度経済成長期直前は日本が一位といった具合です。そういう意味ではアメリカは比較的安定していると言えるのかもしれませんね。

選択肢3 誤り。この職業類型って微妙なんですよねえ。原文を見ると失業者の数は主婦よりも少ないことになっていて半数までは遠く届きません。ただ, その他のカテゴリーが「年金, 雇用保険等生活者」とか「浮浪者」とか「その他の無職者」になっています。これらはある意味で失業者と言えないくもないよなあと思ったり。政府統計っていうのはこういうのが多いですよね。それらを全て足すと80%くらいになります。ただどちらにしても「半数」というのは間違いですね。

選択肢4 正答。自殺の動機については「健康問題」が安定して高い水準にありますね。ただ, これは年代別の交互作用についても検討する必要があると思います。例えば, 経済・家庭問題は中年期に多くなる動機ですし, 勤務問題は, 就労期に多いなどの特徴を踏まえた対策が期待されますね。

選択肢5 誤り。自殺未遂歴があるのは女性の方が多いですね。これは男性の方が確実な自殺方法を選びやすいからと言われています。

今日はここまでー。

 

 

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