第26回-精神専門11

Pocket

問題 11 2012年 (平成24年) 8月に見直しが行われた「自殺総合対策大綱」に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 地方公共団体は, 「自殺総合対策大綱」で示されている重点施策に関して, 網羅的に取り組まなくてはならないとしている。
2 自殺発生後の遺された人への支援においては, 個別心理療法の提供を最も優先している。
3 2007年(平成19年)に「自殺総合対策大綱」が策定された後も, 高齢者の自殺死亡率は一貫して上昇を続けており, 新たな対策を求めている。
4 選択的予防介入とは, 自殺行動のリスクの高い人々を集団としてとらえ, その集団を対象とする対策のことである。
5 都道府県に, 自殺の要因となり得る生活困窮, 児童虐待, 性暴力被害等の支援をワンストップで行う支援機関の設置を求めている。

この設問は正直いまいちな内容だと思いますが, 自殺に関わる問題は頻出です。昨年のこちらの問題も参考にしてみてください。ちなみに自殺総合対策大綱の本文はこちら

選択肢1 誤り。最初これが正解だと思いましたが, どうやら原文とは違うみたいです。原文には「網羅的に取り組むということではなく, 地域の実情に応じて必要な重点政策を独自に設定して取り組む」と書かれています。なんだか日本語の試験みたいですね。

選択肢2 誤り。自死遺族についてのフォローは繰り返し述べられていますが, 個別のフォローを最優先という書き方はしていませんね。遺族の自助グループの運営などの項目から判断すると, セルフヘルプグループを大事にしていると思います。

選択肢3 誤り。自殺者数は減少傾向にあり, 2012現在で3万人を割り込みました。中高年, 高齢者の自殺も減少傾向にあり, 近年の施策の成果は形に現れつつあります。

選択肢4 正答。これは昨年度とまったく同じ問題です。自殺のへの介入には, 自殺リスクの有無にかかわらず, すべての人を対象とした全体的予防介入, 特定の自殺リスクを有する小集団を対象にした選択的予防介入, 調査によってリスクが高いとされた人を対象にした個別的予防介入に分類されています。ただ, これは, 自殺予防総合対策センターの提言の中に記載されている分類であって自殺総合対策大綱の中にはないと思うのですが。。。間違っていたら教えてください。

選択肢5  誤り。これは用語の問題でしょうか? ワンストップというのは, 「複数の部署・庁舎・機関にまたがっていた行政手続きを, 一度にまとめて行えるような環境」を示します。様々な要因で起こりうる自殺をワンストップで行うにはおかしいですね。地方公共団体, 関係団体, 民間団体が連携して対策に当たるのが自然だと思います。

今日はここまでー。

カテゴリー: 第26回精神専門科目, 精神保健の課題と支援 パーマリンク